第21話「試練―其のA」
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を瞳に映し、タケルとエヴァンジェリンを見やる。
「まだです。まだ僕はくたばってませんよ。エヴァンジェリンさん」
「ぬ……何を言ってる? 勝負はもうついたぞ。ガキは帰って寝ろ」
面倒そうに手を振る彼女に、だがネギは悪戯をしたような笑顔で晴れやかに言い放つ。
「……でも条件は「僕がくたばるまで」でしたよね。それに確か時間制限もなかったと思いますけど?」
「な……何っ!? まさか貴様……」
「へへ……そのとおり。一撃当てるまで何時間でも粘らせてもらいます……タケルさん、続きをお願いします」
タケルは、こういうガムシャラなネギが好きだ。エヴァに対する冒涜(弟子入りを勝手に兼ねた件)も、この世界の見たくない武術も、そういったネギを見ていれば自然と穏やかな気分になる。
「……ああ」
タケルが頷いたと同時、ネギが地を蹴った。中国拳法独特の踏み込み。両足で大地を蹴り、その反動で一気に距離を潰しつつ、得られた推進力を利用してまるでロケットのようなパンチを放つ。
だが――
「――遅い」
先ほどまでの速い動きは既に見る影もない。
突き出された拳を避けようともせず、カウンターの要領で腕を突っ張った。もちろん、ほとんど力をこめていなかったが、それでもロケットのような勢いがそのまま自身に返ることになる。ネギは再度ごろごろと地面を転がる。
――……これいつまでやることになるんだ?
ネギも我慢強いだろうし、エヴァンジェリンもやはり一撃を入れなければ合格とは認めないだろう。
タケル自身も、わざと一撃をもらってやるほどお人良しでもない。まぁ、早く終わるにはわざとネギの一撃をもらえばいいのだろうが、面倒だからと言ってわざともらえばすぐに終わるだろうが、その後で確実にエヴァンジェリンにグチグチといわれるのは目に見えている。
当然、ネギを殺す気もないので、そこらへんは加減しながら戦わなければならない。
なかなか終わりの見えそうにないこのテストに、タケルがうんざりとため息を放ったときだった。ネギが口を開いた。
「……タケルさん……ほ、本気でお願いします。手加減されて合格しても……意味がないですから」
ネギとしては当然のことを言ったつもりだったのだろう。
先程の一撃は、確かに今までで最もタケルが気の抜いた攻撃であった。だからネギがそう感じたのはわかる。
だが、言ってしまえばタケルは全ての一撃に力を抜いて戦っている。
そして、何よりも決定的な言葉。
「……何?」
空気が――変わった。
それに気付いたのはその場のたった二人。エヴァンジェリンと刹那のみだっただろう。彼女達がまるで泡でも食らったかのようにタケルをジッと見つめている。
「
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