第21話「試練―其のA」
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もどきでしかありえない。
だから、気を使える世界の人間が極めた武術と、気を使えない世界の人間が極めた武術では動きがまったくと言っていいほど違う。
だから、気を使うことなど出来ないタケルが知る、いや憧れすら持っている武術を考えた時、この世界の武術はあまりに違っていた。
どうしても、そうではないと分かっていても、それでも。
まるで稚拙にすら見えてしまう。
それが、タケルの苛立ちを募らせることに一役買っていた。まるで、タケルが子供の頃に憧れた強さはこの程度だといわれている気がして、それを認めたくなくて、苛立っているのだ。
実際、この苛立ちは本当にタケルの気のせいであったりする。
事実、この世界で流布されている武術は人体力学を無視したものではない。
気と人体。その両方を重視した形となって武術へと昇華されており、確かにタケルの目から見れば彼自身が知っている武術とは違うかもしれない。だが、たとえ気を使えなかったとしても十分に立派な武術として、武はこの世界に存在しているのだ。
要するに、タケルの武術への憧憬が強すぎて、まだ中途半端な武術しか知らないネギのソレを必要以上に敵視してしまっているということだろう。
一言で言えば誤解してしまっているのだ。
だが、まぁ、もちろん。
そんな事実を、誤解してしまっている彼が気付けるはずもない。
じわじわと、彼の苛立ちは募っていた。
ネギの肘を、同じく空いていた左肘でガード。ガンツスーツの強度を考えればむしろネギの肘へのダメージのほうが大きいだろう。
「うっ」
痛みに顔を顰めたネギの動きが硬直し、その隙にやくざキックでネギを蹴り飛ばした。5Mほど吹っ飛び、それでも勢いが止まらず地面をごろごろ転がり、やっと止まった。
別にネギに苛立っているわけではない。
ただこの世界にある武術は、魔法も気ももたないタケルにとって武術と呼んではいけない代物なだけだ。
だからあえて言うならこの世界の武術のあり方に苛立っているとでも言えばいいのだろう。もちろん、彼はまだ高校生だが、そんなことでネギに八つ当たりをするほどガキではない。力も動きも、ある程度抑えている。
「チッ」
倒れてしまったネギに、あからさまな舌打ちをしたのはタケルではなく、エヴァンジェリン。
誰よりも不機嫌に、いつの間にか座っていた椅子から立ち上がっていた。
「ふん……まぁそんなところだろう。残念だったなボーヤ。だがそれが貴様の器だ。顔を洗って出直してこい」
「ネギ!!」
「ネギ君」
アスナとまき絵が駆けつけようとしたところでネギが立ち上がった。膝を震わせ、息を荒げ、それでもしっかりとした意思の光
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