第八話「△デート・鏡花後編」
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しめたいっ!
なにこの娘!? 可愛い過ぎなんだけど! 俺を悶え殺す気!?
我が家の嫁は世界一ィィィィィ――――――!!
ジュースを飲み終えるまでの間、人知れず内心身悶えていた俺であった。
† † †
一通り園内を満喫した俺たちは遊園地から出ようとしていた。
どちらも口にしていないが、恐らくこれから向かう先は一緒だろう。
デートの締めといったらやっぱり――ホテルだ。
しかし、しかしだ。
時刻は現在午後の五時四十分。
そう、祐理との待ち合わせ時刻まであと二十分だ。
――これはやはり、あれしかないか……。
手段を選んでいる暇はない。鉢合わせだけは勘弁だ。
俺が死ねるから。
「すまん、ちとトイレ行ってくる。先に行ってて」
「早くしなさいよ」
一旦、鏡花と別れてトイレへ。
無人であるのを確認して個室に入った。
「さあ、覚悟はいいか俺。やるぞ、やり遂げるぞ……!」
――能力『完全同一分体』発動。
一瞬、視界にノイズが走り、俺の輪郭が二重にぶれる。
視界と輪郭が元に戻ると隣には俺が立っていた。
姿形だけでなく、服装、雰囲気、性格、能力すべてが同一である、まさにもう一人の俺だ。
「俺はこのまま祐理の待ち合わせがあるから、お前は――」
「鏡花の相手をすればいいんだな」
分体の俺がニヒルに微笑む。……俺ってこんなんだっけ?
「んじゃあ、任せたぞ俺」
「任されたよ俺」
先に分体を鏡花の下に向かわせる。一緒に出るわけには行かないからな。
一分経過したのを確認すると俺もトイレから出て、祐理との待ち合わせ場所に向かった。
鏡花には悪いが、今回のデートは失敗するわけにはいかないんだ。
心の中の鏡花が「うがーッ」と眦を吊り上げる。後でそれとなく埋め合わせするから、今は不甲斐ない夫を立ててくれ。
取りあえず、さっさと七雄神社に行こう……。
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