第八話「△デート・鏡花後編」
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「はいー。当店は『早い!』『安い!』『美味い!』を理念にしているですよー」
「どこのキャッチコピー!?」
あははー、と気の抜けた笑い声を上げたウェイトレスは料理を手際よくテーブルに並べた。
俺の料理、ココ○チ風カレーはもう言うことがないくらい普通だ。なにをコメントすればいいのかも分からん。
対して、鏡花の山本デラックスとやらは、パッと見た感じお子様ランチの大人向けバージョンだ。
「へー、結構洒落てるのね」
「まんまお子様ランチみたいだな」
「あら、可愛いじゃない。このチャーハンに国旗が刺さってるところなんて」
可愛いものに目がない鏡花はいたく気に入ったようだ。
プレートには拳大ほどの大きさのハンバーグにサラダ、エビフライなど見慣れたものが並んでいる。
「このハンバーグすごく美味しいっ! チャーハンもパラパラ!」
「……うん。このカレー、まさにココ○チだ」
名前に偽りなしだな。……悲しくなんかないやい!
飯一つにコロコロ表情を変える愛する嫁を眺めながら、スプーンを運ぶ。カレーがご飯で嫁がおかずですが、なにか?
まあ、夜の方では主食だけどな!
「はい蒼。あ〜ん」
小さく切り分けたハンバーグを箸で支えながら差し出してきた。
恋人でしたいこと鉄板の『あ〜ん』だ。鏡花は殊更、これを気に入っている。
「あー」
少し身を乗り出してハンバーグを食べる。
「どう? 美味しいでしょ」
「うん、確かに旨いな」
でも、俺的には嫁の手料理が一番だけど!
再び食事を続ける鏡花を見てふと。
「……間接キスだな」
「――! ごほごほっ」
「おいおい大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ……。というか、いきなりなに言うのよっ」
顔を赤くしながらキッと睨みつけてくる鏡花。本人からすれば精一杯睨んでいるのだろうが、威圧感なんかまったく感じず、むしろ微笑ましく思える。
というか、普段もっと恥ずかしいことしてるのにこのくらいのことで顔を赤くするなんて……愛い奴だなぁ!
まったくもうっ、と小さく言葉を濁しながら食事を続ける。まだ頬が上気しているのはご愛嬌だ。
「あ〜、美味しかったぁ」
デザートのプリンも完食し満足いった様子を見せる。
再びメニューを開く鏡花に呆れた視線を送った。
「まだ食べるのか?」
「んーん、飲み物よ。もう一つの目当てでね。あっ、店員さーん。これお願いします」
そう言って鏡花が指したのは。
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