第八話「△デート・鏡花後編」
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食店だった。いつだか言ったことのあるウェスタン村にあるような店だ。
鏡花の言っていた通り余程人気なのか、ずらっと客が列を成して並んでいる。客の割合は男女比半々、二十代が多いようだ。
「なんか思ってたのと違うな」
「まあ見た目はね。でもここの料理ってホント美味しいのよ。なんでも元三ツ星レストランで働いていたコックが運営してるんだって」
「へぇ、それなら味の方は期待できるな」
我が家はあまり外に食べにいかないから久々の外食にちょっとウキウキだったりする。
それから待つこと二十分。ようやく店内に入ることが出来た。
ウェイトレスに案内された席に着き、渡されたメニューを開く。
「……鏡花」
「ん?」
そこに描かれていた料理名をさっと流し読みした俺は同じくメニューを開いている鏡花に一言。
「意味不明だ」
「言うと思った」
クスクスと笑い声が返ってきた。
メニューには料理名しか書いておらず、どういった料理なのか写真が載っていない。しかもその料理名というのが『バサラの無念』、『新大陸の謎』、『アルカディアの希望』、『黒い妖精からの贈り物』など訳の分からん名前ばかりだ。
「これはあれか? 客をおちょくってるのか?」
そうとしか思えん。なんだこの『天国と地獄』ってのは。
「そんなことないと思うけど。なんかここのコック長って結構感性豊かな人らしくて、料理の名前をすべて直感でつけてるんだって」
「……理解できんな」
「しなくてもいいと思うわよ」
なにか俺でも分かるものはないかと吟味したところ、とある料理名に目が付いた。
『ココ○チ風カレー』
「なんでこれだけまともなんだよ!」
思わずメニューをテーブルに叩きつける。そんな俺を見た周囲の客は忍び笑いをしていた。
「俺も初めて見たときは同じ反応したっけ」
「一度は通る道よね」
「懐かしいわねー」
なぜか微笑ましい目で見られてしまった。
「もう、恥ずかしいんだからやめてよね」
「あい」
結局、俺が頼んだのはココ○チ風カレー。鏡花は山本デラックスになった。
「なに? 山本デラックスって」
「さあ? なんでもすっごく人気のある料理なんだって。値段もお手頃の価格だし結構これ目当てのお客も多いみたい」
「ふーん」
「お待たせしましたー。ココ○チ風カレーと山本デラックスですー」
「早っ」
注文してまだ五分も経っていないのにもう料理が出てきた! 吉○家じゃないんだぞ!?
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