第20話「試練―其の@」
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ネギの気持ちも分からないわけではない。
――だが。
少しだけ呆れるようにネギを見つめる。
先ほどエヴァが見せたむず痒そうな、それでいて微かに照れた顔がタケルの脳裏をよぎった。エヴァが実際に裏切られたような感覚を覚えているだろうことは、容易に想像できる。まるで自分が裏切られたような気がして、ジクリと胸が痛んだ。
タケルが考え事をしている間にも、彼等の会話は進む。
「――じゃあな、子供にはカンフーゴッコがお似合いだ」
「あ……待ってくださーいっ」
ネギの言葉にも耳を貸さず、そのままエヴァンジェリンは背を向けて歩き出した。
「……やきもちですか、マスター?」
「な……? ち、違うわ!」
きっとそれは当たらずとも遠からず、といったところなのだろう。エヴァ自身にも良くわからないささくれ立った気分を感じているはずだ。
「ちょっとー、エヴァちゃん。なんでネギ君に意地悪するのー? 弟子にくらいしてあげればいーのに」
なぜかムッとしているまき絵の文句に真っ先に答えたのはエヴァではなく茶々丸。
「ヤキモチだそうです」
「ちがうっつーのコラ! ……フン――」
何やら言い争いを始めようとしている彼女達に「ふぅ」と、小さくタケルが息を吐いた。別にどうでも良くなったわけではない。良くなったわけではないのだが、そもそもタケルには全く関係のないこと。
こういった問題は当事者達で解決するに限るのだ。部外者が口を挟んでも碌なことにはならない。当の佐々木まき絵は口を挟みまくっているが、それは彼女のスタイルなのだろう。
――いい気分転換にもなったし……帰るか。
頭に乗っていた茶々ゼロを物凄く名残惜しそうに茶々丸に引き渡す。いきなり手渡された茶々丸は当然のように首をかしげた。
「……猛先生?」
「授業で、また」
そっと歩き出す。
「いいだろう、たった今貴様の弟子入りテストの内容を決めたぞ」
――どうやら話はついたらしい。
一人で頷きながらも、もちろん歩みのペースを緩めることはない。例えそれがどれほど難しい内容のテストであろうと、関係のない彼が歩みを止めることはなかっただろう。
それは心のどこかでネギが責任を取るべきだ、という思いがタケルの中にはあったからだが、やはり最大の要因はそれではなく、当事者ではないということだからだ。
「そのカンフーもどきで茶々丸に一撃でも入れてみるがいい。それで合格にしてやろう……ただし1対1でだ」
やはり、ありえないほどに難しいテストだった。
……だが。
内心ではやれやれ、などと思いつつもゆっくりと歩き去っていくタケルに、次の瞬間にありえない言葉が届いた。
急にエヴァ
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