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ネギまとガンツと俺
第20話「試練―其の@」
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に気がついた。

「ん?」

 一斉に目を向けた先にあったのは中国拳法の自主練習にいそしむネギの姿。

「……あれは」

 タケルにも見覚えがあった。クーの呼吸に通じるものがある。つまりは彼女に師事したということだろうか。

 ――……いや、だが?

 それはおかしい。

 ネギはエヴァンジェリンへの弟子入りを志願していたのではなかったのか?

 全員が同じように考えているのだろう、食い入るようにネギを見つめている。

「ん?」

 誰かがネギの元へと駆けて行く。

 佐々木 まき絵。

 タケルが私的に関わった中では、バレーボール事件の子供っぽい少女、という印象が強い3−Aの生徒だ。

「ネーギ君!」

 彼女が夢中になって体を動かしているネギの背をバンと叩いた。

「あ、あれれ? まき絵さん……朝のジョギングですか!?」
「何やってるのーー? それってこないだ言ってた中国拳法?」

 実は少し遠い位置にいたため、距離的に声が聞こえないと思っていたのだが、そんな心配は必要なかった。

 ――なんで、あんなに声が大きいんだ?

 つい首を傾げてしまうタケルを他所に、まき絵の質問に対してネギが決定的な言葉を吐いた。

「ハ、ハイ。一昨日から古菲さんに教えてもらって」

 ――エヴァに志願した翌日……? エヴァの指示か?

 訳がわからず、エヴァを見る。が彼女の師事ではなかったらしい。というかむしろネギの独断だったようだ。

「……ほう?」

 彼女の軽く苛立たしげな声がタケルには聞こえた。

「フン……カンフーか」

 ズイと前に出た。慌ててその後ろを茶々丸と共についていく。

「随分と熱心じゃないか、ボーヤ」

 軽くお辞儀だけで挨拶をするタケルと茶々丸。タケルにしては珍しく声に出さないのはエヴァの空気を読んだというところだろう。

「あれー。タケル先生、エヴァさま、茶々丸さんも。おはよー」
「あ、おはようございます」

 まき絵とネギの挨拶にも耳を貸さず、エヴァはむすっとして告げる。

「そっちの修業をすることにしたのか? じゃあ私への弟子入りの件は白紙ということでいいんだな」
「……え゛う゛?」

 ビクリと体を震わせたネギと憮然とした表情のエヴァを交互に見つめる。

 ――つまり、3日前にエヴァに弟子入りを志願して、とりあえず保留されている間にそのままクーさんに弟子入りを果たした、ということか。

 それはあまりにも誠意に欠けた行為。もちろん、ネギにはそんな自覚はないのだろうが。

 彼はただ、強くなりたいという思いだけで、魔法と武術の両方を師事している。純粋に、そしてひたむきに強くなろうとしているのだろう。

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