第六十四話 戦いを止める為にその四
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「宜しくお願いします」
「もう一人頼りになる仲間が加わったからな」
「頑張っていこう」
「はい、じゃあまずは」
「まずはといってもだ」
「決意はしたけれどね」
それでもだと、二人はここで上城に対して難しい顔を見せた。
そのうえでだった、こう言ったのである。
「具体的には何をするか」
「それは決まっていないんだよ」
「そうですか」
「戦いを止めると決意はしたが」
工藤は険しい顔だった、その顔で上城に話す。
「しかし戦うことを決意している彼等をどう止めるか」
「それは非常に難しいことだね」
「そうですね、それは」
上城も応える、難しい顔になって。
今彼等は高等部の剣道の道場に向かう道にいる、そこにいてそのうえで話しているのだ。
青い空から白い光が照らしてきている、だが。
その光を意識出来ないままこう言ったのである。
「どの人も」
「諦められる願いならだ」
若しそうしたものなら、工藤は言う。
「誰も剣士になってまで持とうとしないな」
「はい、そうですね」
上城は高代のことを思い出した、そして次に中田のことを。
「どういった願いかはわからなくとも」
「剣士は殆どの者が実際は戦おうとは思っていない」
それこそ加藤以外にはだ、殆どの者が戦わないで済むのならそれでいいと思っているのだ。だがそれがなのだ。
「それだけにだ」
「強い願いですね」
「誰かを犠牲にして、己が修羅にまでなってだからな」
「エゴである場合も多いけれどね」
ここで高橋も言う。
「エゴは誰にでもあるしそのエゴを選ぶこともね」
「中々出来ないですね」
「人は複雑だからね」
高橋は上城に口の左端を歪めて笑って言った。
「良心っていうのがあるから、大抵の人は」
「エゴを躊躇なく選べる人はそうはいないですね」
「滅多にいないよ」
実際そうだというのだ。
「迷うよ、色々とね」
「そういえば高代先生も王さんも」
「あの人達の本音はわかるね」
「はい」
金銭というある意味において率直な願いを持っている王にしてもだった、戦いに対する本当の願いはというと。
「戦ってまで、って思われていますね」
「そうだよ、彼にしてもね」
「刃は人を傷付けるものじゃないって仰っていたから」
「それが倫理ってやつなんだよ。良心とも言うね」
「人が人である為のものですね」
「また言うけれど世の中良心がない人間は滅多にいないよ」
それこそ千人に一人程度の割合だ、いるにはいるがどんな嘘を言おうともどんな悪事をしようとも全く平気な人間なぞ滅多にいない。
だが今いる剣士達はというのだ。
「俺達十三の中にはいないだろ」
「はい、誰も」
「あの戦いたいってだけの彼にしてもね」
加藤、彼にしてもだった。
「
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