第五十話 秋に咲く桜その十二
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「夜のお花も綺麗だけれど」
「桜は特にね」
「そうなのよね」
「風情があって」
二人はその夜桜達を見てうっとりとしている、だが。
その二人にだ、茉莉也が言って来た。
「桜もいいけれどね」
「お茶ですか?」
「お茶とくればお菓子ですね」
「いやいや、その前によ」
茉莉也は右手の親指を立てて二人に言うのだった。
「どうしてこの桜が咲くかは話したわよね」
「はい、狐さんと狸さん達のお陰ですね」
「あの人達の妖力からですよね」
「そうよ」
だから狐達と狸達を探そうというのだ、だが。
茉莉也はここで周囲を見回した、しかしそれでもだった。
三人の周りには今は誰もいない、それで首を傾げさせて言った。
「いないの?」
「いや、いるよ」
「隠れてただけだよ」
ここで声がした、そしてだった。
その狐や狸達が他の桜達の陰からひょっこりと出て来た、そして宙には無数の人魂達が出て来ていた。
人魂は青や赤のぼんやりとした光を放つ丸い、十センチ程のものの後ろにひょとりとした二十五センチ位の尻尾の様なものが付いている。よく漫画に出て来る様な形のものだ。
そこに青い光を放つ丸いものもあった、茉莉也はその尻尾のないものを見て二人に話した。
「これがウィル=オ=ウィプスでね」
「その妖精ですか」
「人魂そっくりですね」
「多分同じ種類よ」
人魂とだというのだ。
「この妖精さんはね」
「そうですか、それで人魂さんは喋れるんですか?」
「この妖精さんも」
「喋れるよ」
そのウィル=オ=ウィプスから声がしてきた、少年の声だった。
「こうしてね」
「あっ、喋れるの」
「それだったら」
「うん、僕達も喋れるよ」
「こんな感じでね」
ここで人魂達も言って来た、めいめいが二人に言って来る。
「ちゃんと喋れるからね」
「安心してね」
「わかったわ、それじゃあね」
「あらためて宜しくね」
「うん、話は茉莉也嬢ちゃんから聞いてるよ」
人魂のうちの一匹が言う。
「泉を探してるんだよね」
「そうなの、だからここに来たの」
「泉にね」
「そうそう、ここも泉の候補地なんだよ」
人魂は二人に親しく話す。
「まあ僕達が実際にどうかはわからないけれどね」
「お茶はもう用意しているわよ」
茉莉也が二人に言って来た、見ればもう桜の傍に敷きものをして茶道具一式を出している。ちゃんとお茶菓子もある。
そのうえでだ、こう二人に言って来たのだ。
「調べてから皆でお花見よ」
「早く確かめようね」
「待ってるから」
茉莉也の傍には九尾の狐と團十郎狸がいる、人間の様に正座しており今にも茶を立てようとしているのが見えた。
「さあさあ、お菓子も一杯あるから」
「今日も楽しもう」
二匹が言うと
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