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八条学園怪異譚
第五十話 秋に咲く桜その十一
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「そうしたところがね」
「どうもね」
「行ってくれるわね、とはいっても私は何度も言うけれど彼氏は一人だけでいいから」
 今もこう言う茉莉也だった、こうしたところはお堅いのだ。
「浮気とかしないし、襲って来た相手がいたら」
「その時はどうされるんですか?」
「ピンチには」
「潰すわ」
 一言、しかも真顔できっぱりと言い切る。
「そうしてあげるわ」
「潰すんですか」
「文字通り」
「相手が一人だとそれで終わりよ」
 何処を潰すかはあえて言わない、言わずとも誰でもわかることだからだ。
「もう二度と悪いことは出来ないから」
「というか下手したら死にますよ、潰されたら」
「ショックで」
 その痛みのショックでだ、運良く助かったにしてもどうなるかもまた言うまでもない。少なくとも髭は生えなくなる。
「それをあえてですか」
「されるんですね」
「そんなことする奴に容赦したら駄目でしょ」
 だからだというのだ。
「むしろね」
「ううん、それでも過激ですね」
「潰すだなんて」
「問題は何人かいる場合だけれど」
 その場合はというと。
「私の場合は妖怪さん達、特に天狗さん達を呼ぶから」
「天狗さん達ですか」
「あの人達が助けてくれるんですか」
「それに力もあるから」
 所謂法力だ、茉莉也は巫女としての力は確かなのだ。
「動きを止めて、その時に全員の急所をね」
「絶対にそこで潰されるんですね」
「何があっても」
「だって、そうした奴は悪事を繰り返すでしょ」
「だから二度とそんなことが出来ない様にですか」
「潰しておくんですか」
「そうよ、悪党に情けは無用よ」
 茉莉也はきっぱりと言い切ってみせた。
「だから二度と悪事を働かせたらいけないから」
「パリン、とですか」
「潰すんですね」
「あれ相当痛いらしいからね」
 その痛みは男なら知っている、まさしく地獄の痛みであり下手をすればショック死することも実際にある程だ。
「だからいい薬でもあるからね」
「一生もののお薬ですね」
「まさにそうなりますね」
「まあそういう奴にはね」
 その一生ものの薬も妥当だというのだ。
「いいでしょ」
「ううん、先輩らしいですけれど」
「お話を聞くだけで」
「それ位でいいのよ、とにかくね」
「はい、今晩ですね」
「桜のところに」
「行くわよ、そういうことでね」
 こう話してだった、三人は夜を待ってからだった。 
 その桜の並木道に行く、もう秋なので本来は桜は咲いていない。しかし今は違っていた。
 一本だけとりわけ大きな桜があるがその桜が咲き誇っていた、夜の闇の中に桜の花びらが幻想的に舞っている。
 その花びら達を見てだ、まずは愛実が言った。
「夜の桜もいいのよね」
「そうよね」
 聖
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