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八条学園怪異譚
第五十話 秋に咲く桜その十
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「学園の正門のところよ」
「あそこの、ですね」
「桜林ですね」
「そう、あそこよ」
 行くのはその場所だった。
「あの桜林にも話があるのよ」
「みたいですね、何かある時に行けば」
「春以外は咲かない桜達が満開になるんですね」
「そうよ、満月で」
 そしてだった。
「しかも狐さん達と狸さんが集まる時にね」
「ああ、あの人達の力でなのですか」
「桜が咲くんですか」
「そう、九尾の狐さんと団十郎狸さんの力が特に大きいからね」
 この学園においての狐と狸達の棟梁である彼等のだというのだ。
「どっちも千年生きてるから妖力も相当なものだから」
「それで、ですか」
「妖力も強いんですね」
「そうよ、それでなのよ」
 そう話すのだった。
「桜が咲くのよ」
「あの人達ってそんなに妖力強かったんですか」
「飄々としていたのに」
「そうよ、仙人みたいなものよ」
「仙人ですか」
「そこまで凄いんですね」
「まあね、妖怪さんも幽霊さんも何百年も生きてる人がかなり多いし」
 古墳の幽霊にしてもそうだ、あの幽霊はまさに古墳が作られていた千年数百年以上前から生きている。
「仙人さんみたいな人もね」
「いるんですね」
「この学園にも」
「そういうことよ、じゃあね」
 ここまで話してだった、茉莉也は二人にこうも話した。
「今回はあそこでお茶よ、人魂さん達もいるから」
「賑やかになりそうですね」
「狐さんに狸さん達もですから」
 二人はここまで聞いてしみじみと思った、最初は人魂達だけと思っていたがそれでさらにだったからである。
「それに先輩もお茶にされますし」
「ちょっと違いますね」
「ひょっとしてそこに一番驚いてない?」
 茉莉也は二人の言葉を聞いてそのことを察して言った。
「何か」
「はい、実は」
「やっぱりそこに」
「全く、私だってそういう時があるわよ」
 お茶を飲む時もだというのだ。
「お酒じゃなくてね」
「それがなんですよ」
「信じられなくて」
「だから、私だってお酒じゃない時があるから」
 このことは重ね重ねといった感じの茉莉也だった。
「お茶だって好きだし」
「そういえばお茶も結構」
「飲まれていますね」
「でしょ?それに昨日無茶苦茶に飲んでね」
 それでだというのだ。
「今日はいいかなって」
「ああ、それでなんですか」
「今日はですか」
「そう、もういいから」
 今日はというのだ。
「お茶、それも茶道で上品にいきたいのよ」
「そういえば先輩ってね」
「そうよね」
 愛実と聖花の二人で話す、茉莉也についてあることに気付いたのである。
「普通にしておられたらね」
「小柄で可愛いし」
「和服だって似合いそうで」
「いい感じよね」
「けれど騒がしいキャ
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