A's編
第三十一話 裏 中 (なのは)
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は簡単なものだった。つまり、『世界』だと。
世界とはこの地球のことだろうか。ならば、なのはは彼女を止めなければならない。たとえば、対象が『世界』であっても、彼―――翔太がかかわらないのであれば、どうでもよかった。彼女にとって、『世界』とは、彼女が知覚できる『世界』とは、蔵元翔太とともにあることなのだから。
よって、その『世界』を壊そうとする彼女は、以前の黒い金髪と同じく、なのはの『敵』だった。
だから、だから、壊してしまおう。なのはの世界を壊そうとする彼女を。
そんな決意をもって、ぎゅっ、とレイジングハートを握りしめるなのは。
だが、そこに一抹の不安がよぎる。なのはが敵とみなしたのは、闇の書であり、翔太が心配してる彼女である。ならば、この決意が正しいのかなのはにはわからなかった。前回、あの小さな赤い少女との戦いのときはうまくいかなかったことがさらに拍車をかけている。
だから、なのはは聞いてみるのことにした。翔太に。彼はいつだって正しかったから。だから、だから、きっと―――
「―――ショウ君はどうしたい?」
「え?」
少し驚いたような表情。もしかしたら、こんなことを問われるとは思っていなかったのだろうか。だから、返答までには少し間があった。
だが、やがて自分の中で結論が出たのか、どこか決意を秘めた顔で口を開く。
「止めたい。うん、僕は彼女を止めないと……」
『僕は』と考える部分はわからなかったが、どうやら彼の出した結論はなのはとは異なるようだった。当たり前だ。先ほど、なのはがどこかで納得したように翔太からしてみれば、八神はやては被害者なのだ。だから、助けなければならない。止めなければならない。
なのはとしては、翔太を傷つける、傷つけようとするような危険人物は壊してしまいたいのだが、それは翔太の意にそぐわないようだった。
だが、なのはは翔太の言うことを無視することはできない。無視することはできない。だから、その危険人物をそのまま止めることを少しだけ危惧しながら、それでも翔太の決めたことだから、と笑顔で応える。
「うん、そうだね。ショウくんなら絶対そういうと思っていたよ」
そう、そうなのだ。翔太は正しい。だからこそ、翔太が彼女を『助ける』と言うことも心のどこかで思っていた。なのはは壊してしまったほうが、危険性がないのでは? と思うのだが、それはそれだ。お互いに相容れない考えだったならば、なのはは翔太を取る。それが正しいからだ。
そして、そうと決まれば、一刻も早く止めるべきだろう。いづれ、闇の書は暴走してしまう。その時になれば、止められるかわからない。止められるとすれば、完全に暴走が始まるその前までだろう、とレイジングハートは結論を出してい
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