糸括り 凪
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まま前に進んでいく。
「おおおおー!」
レイフォンは歓声を上げる。だがそれを支える側としては意外と辛かった。見えぬ内側にある機構を安定させ動いてもバラけぬように支える。タイヤの動きや車輪に通される軸との連動などを構築し続けるというのは経験したことがない類の面倒な操作だった。
凝り性なのも原因の一つだ。機構が分からぬ部分はリアルタイムで気づかれぬよう補う部分を鋼糸で構成し続けていた。
一日剣を振れる達人でも弓を二時間も引けば筋肉痛になる。これは単純に使う筋肉が全く別だからだが、それに近かった。両手にある鋼糸を出す錬金鋼の手袋。割合で言えばその片手分は慣れぬ操作に支配されていた。
視界の先、バランスを崩したレイフォンが倒れる。そこまででいいだろうと鋼糸を解く。仰向けに倒れ空を見上げているレイフォンの頭の横に立ち見下ろす。
「もういいだろう。こういうことが出来るようになりたかったら前の続きをやるぞ。起きろ」
「はーい」
木の幹を背に、剄を起こす。それをただただ繰り返す。
前のように眠らぬよう意味のない話をし、時間を潰した。
問題なく動かせるよう、内部機構のちゃんとした物をいくつか作れるようにするのもいい鍛錬かもしれぬと、凝り性からか考えた。
そしてまた、考えた。
こんな面倒な子供を御す親というものは対したものだと。
次もまた関心を持たせるよう、この生意気か子供をどう言いくるめようかと。
残り時間いっぱい、その騙くらかしかたを考えた。
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