第三章
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らヒゲもだった。
「泣いても知らねえぜ」
笑って俺に言ってきた。
「それでもいいんだな」
「俺は泣いたりしないよ」
憮然として皆に断言した。
「何があってもさ」
「わかってるって、そんなことは」
「ムキになるなって」
俺がそんな顔をすると皆言ってきた。
「けれどな」
それからリーダーが話をまとめるみたいにして俺に語り掛けた。今度は真面目な声だった。
「ヤケにはなるなよ」
「ヤケに?」
「そうだ」
顔も真剣なものにして俺に言う。
「それだけはちゃんとしろよ」
「別にそれは」
「いや、こういうのはわからないんだよ」
リーダーはかなりくどいまでに俺に言ってきた。
「言葉があまり通じないだろ?だから余計にいらつくからな」
「経験あるの?ひょっとして」
「なかったら言えないだろ」
俺の問いにはっきりと答えてきた。
「だからなんだ」
「そうなんだ。何か怖くなってきたな」
気弱になってきた。ついつい目を伏せてしまう。
「そんなのだと」
「といってもあれだぞ」
しかしここで声を穏やかにしてきた。こういうところが凄くよかった。だから俺達のリーダーもできる。その気配りが嬉しかった。
「怖がっても駄目だしな」
「切れずに、それで勇気を出してってわけか」
「落ち着いて当たって砕けろ」
またとんでもないことを言われた。
「わかったな」
「わかったよ。じゃあ行って来るよ」
「よし、行け」
こうして俺はデートに向かうことになった。約束の日曜日俺は勝ったばかりの中古の車に乗って待ち合わせ場所に向かった。免許も取ったばかりで運転も結構危ないものがあるけれどそれでも約束の場所に向かった。
けれどまだそこには彼女はいなかった。俺は誰もいない待ち合わせ場所を見てまずは遅れなくてよかったと思った。最初に思ったのはこれだった。
「よかったよかった」
それに喜びながら車を出て窓のところに立って彼女を待つ。サングラスに黒い皮ジャンとズボン、白いティーシャツで決めたつもりだ。サングラス越しにちらちらと辺りを見回しながら待っていると。その彼女がやって来た。
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