暁 〜小説投稿サイト〜
虹との約束
第一部
第二章
クリスマス
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
た。
「本当だね。虹ってああいう風なんだ…」
まじまじと橋を眺める彼女を見て、祐二は不思議に思った。
 祐二は虹に非常に慣れ親しんでいた。昔から、よく虹を見ていた。祐二が見た中で最もきれいだった虹は、田舎で見た虹だった。祖父と買い物に行った帰りに、海の水平線に浮かぶ、きれいな百八十度広がる虹を見たのだ。夕暮れ時で街は茜色になっていて、それはもう絶景だった。どんな絶景もこれには勝らないだろうと祐二は今も信じている。
「虹、見たことないの?」
彼女は頷いた。
「うん。一度もない。雨上がりに一度は見そうなんだけど、なぜか私、一度も見たことないんだ。いつか見てみたい。」
胸をときめかす彼女は、祐二には輝いて見えた。蛍の祭典のときと同じ表情をしていた。
「よし!」
祐二は真里の手を取った。
「あの虹にかけて誓うよ。いつか必ず僕の故郷のきれいな虹を見せてあげる。水平線に浮かび上がる七色の架け橋を、必ず見せてあげるよ。」
真里の瞳がきらきらと輝いた。
「祐二。」
掠れ声だった。
「大好きだよ。」
二人は短い接吻を交わした。赤い糸と共に結ばれた、虹との約束だった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ