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虹との約束
第一部
第二章
夏休み
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は驚いて軽く飛び上がってしまった。
「まっ、真里!お、お、おはよう。」
慌てて挨拶をして、手を振った。真里が寄ってきた。
「おはよう。どうしたの?」
「い、いや。なんでもないよ。」
祐二の動悸は止まらなかった。危うくばれるところだった、という驚きと、そしてもちろん、再会の喜びだった。
「うー。」
疑わしげに見つめる真里に、祐二はたじろかざるをえなかった。ようやく、真里に焦点が合ってきた。白い薄手のワンピースを着ていた。その上に描かれるなだらかな曲線を前に、祐二は少しどぎまぎした。顔が赤くなってはいないかと不安になって、祐二は慌てて目をそらし、話を切り替えた。
「冨原は、知ってんの?全部。」
「え…あ…うん。」
慌てたように、躊躇いがちに真里は頷いた。上目遣いで申し訳なさそうにする真里は、ちょっとかわいかった。祐二はそれを見ると、彼女なら何でも許せると思った。源光庵のときと同じ、愛しさゆえの許容…
「ごめんね。でも大丈夫。彩の口の堅さは、私が保証するから。だから、今日は気兼ねなく過ごせるよ。」
そう言うと、真里は祐二の手を握った。いつになく積極的な彼女に、祐二は好意を抱いた。
 でもー
 でも、一人問題児がー
「今日は暑いと思ったら、原因は夏じゃなくて駅前でしたか。」
祐二は目をつむった。全くとんでもないスピーカーが来てしまった。誘わなければよかったが、彩を呼んでいる以上、男女バランス等を顧慮して、彼を呼ばないわけにはいかなかった。
 振り返ると、直哉がにんまりと笑ってこちらを見ていた。
「よう。遅かったな。」
祐二はいつものように手を振った。でも、彼がそのまま見過ごしてくれるわけもなく、
「しらばっくれてんじゃないよ。まったくもう。火のない所に煙は立たない、とはまさにこのことだね。二人で青春を満喫しちゃて。ま、遅れてきたかいがあったよ。」
そう言うと、直哉は繋がれた二人の手を見つめた。慌てたように真里が手を離した。
「いや。ま…は、原崎が転びそうになったからさ。うん。」
取り繕いようがないと思ったが、何も言わないわけにはいかないので、祐二は必死で頭を振った。
「マジ信じらんない。お前も知ってんのね。誰から聞いたのよ。」
彩が怒っていた。かなり不快そうな目で直哉を睨んでいた。考えてもみなかったが、どうやら二人は犬猿の仲らしい。
「あら、レディ。相変わらずの気短で。こっちは自分で調べ、自分で考えたんですよ。洞察力は学生のうちに鍛えないとね。さて、でもこれ以上は、馬に蹴られて死ぬかもしれないから、言及しませんよ。」
「ああ。頼む。っていうか、普通の直哉に戻ってくれ。」
「おう。わかったよ。何にも知らないってことにします。」
そう言うと、直哉は足早に駅に向かった。三人もあとについた。海までの道案内は、彼がして
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