第一部
第一章
体育祭
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れた。戦った友と笑い合った。記念撮影もした。祐二はそれを楽しんだ。それは、至福のひとときだった。それは、勝者の特権だった。
だが、宴の高揚が終わり、教室に戻るとき、祐二はあるものを見た。
彼女の涙だ。
祐二は慰めてあげたいと思った。けれど、それは祐二にはできないことだった。すぐにでも近付いて、あの涙を拭き取ってあげたい。自分と同じように、笑顔を作ってあげたい。けれど、今彼女の方へ走っていくことは、決してできなかった。自分と彼女に、決して乗り越えることのできない、絶壁ができあがってしまった気がした。
勝利がこれほどまでに喜ばしいのは、その数倍の敗者がいるからなんだ・・・
祐二は思った。だが、その事実を受け入れることよりも遙かに、「大丈夫だよ、真里。」と言えないことの方が、祐二には苦だった。
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