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虹との約束
第一部
第一章
体育祭
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かなり問題だ。先生にあれはまずい。けれど…
 彼と、そうでない人々の差も、紙一重と言えた。

 そんな日々が続いて、一週間が経った。体育祭もいよいよ目前に迫ってきて、合同練習や応援練習も始まろうとしていた。
 体育祭練習の休み時間、祐二はクラスメートの直哉と話していた。
「面倒くさい。何か身体がぐだれて逆に疲れるよな。」
祐二は笑いながら言った。じりじりと夏も近付き、長期的な練習もピークを迎えている。気怠く、逃れようない疲れが溜まってきていた。
「言ってみれば、ぐだ疲れか。」
「そうそう。」
ぐだ疲れ。よい表現だった。さすが時期が時期だし、慣れても来たので、練習には本気で取り組んでいた。本気で走り、本気で応援し、本気で行進をした。
 が、体育祭練習というのは、いささか空白の時間が多すぎる。
「お、黄組がまだ練習してるぞ。ソーラン節の練習だ。」
直哉が指さす。校庭の隅っこで、黄組が練習していた。そういえば、黄組は真里の組だ…
 これほど離れているのに、自然と目を離してしまう。自分では実に馬鹿馬鹿しく思えるのに。だが、どうしても気になって、そっと上目遣いでまた黄組を眺める。
「どうしたんだよ?あ、あ、あ、あ。」
一連の動作を見た直哉が一人で興奮し始める。
「何だよ。」
慌てて聞き返す。直哉はこういうところでは侮れない奴だ。
「お前、黄組に何か思い入れがあるな。」
直哉が変なことを言い始めた。疲れ切っていたはずの顔に、好奇の表情が浮かんでいた。
「思い入れ?そんなものないよ。」
笑ってごまかす。思い入れまでいかなくても、多少意識している女性がいることは確かだ。
「はっはっはー。お前単純だからすぐわかる。意識だろ。気になる奴でもいんのか。おら、タイプ教えろよ。タイプ!」
「そ、そんな奴いないよ!」
ズバリ見透かされてつい大声を出してしまう。ますます疑われそうだ。直哉の人間観察力にはつくづく驚かされる。それとも、彼の言うとおり祐二が単純なのか。

 好きなんだな、真里が―

 改めて思った。が、考えるだけでなんだか恥ずかしくなって、それを意識の外に追いやる。
「おーい。始めるぞー。」
坂原先生の声が聞こえる。このときほどその合図がありがたかったことはなかった。

 夕方、祐二は河川敷の原っぱに寝転がっていた。祐二は何か考え事をするとき、決まってそうしていた。
 どうして直哉は、あれほどまでにぴったりと当てられたのだろう。自分の気持ちは誰に対しても打ち明けてはいないし、この心の内にある気持ちが恋心なのかどうか、自分でもまだはっきり理解することはできなかった。
 少し向こうに、身体を寄せ合うカップルがいた。ふと思う。もし、真里とああいう風に想い合えたら・・・
 これが、恋…!?
 祐二は思った。いつま
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