第二部 文化祭
第49話 2人だけの秘密
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た、いったいなに妄想してんのよ……変態。あんなの、冗談に決まってんじゃない」
「だ、誰が変態だって!? 俺は別に、そんな」
「はいはいはいはい、わかったから。……で、アスナさん。作戦は上手くいったようですなー?」
里香の冷やかしに、明日奈の顔まで真っ赤になった。まったく似た者夫婦、いや恋人である。
和人が首を傾げ、明日奈に訊ねる。
「え? 作戦って……何の話?」
「キ、キリト君は知らなくていいの!! そ、それよりキリト君、委員会! 委員会の仕事、ちゃんとやってるの!?」
「なんだよ突然……やってるけどさ」
「へ、へえ〜、そうなんだ! 偉いね〜、キリト君は!」
「俺は子供か……?」
そう言って、和人は苦笑いを浮かべた。
「そ、そういえば……わたし、君の委員会がなんなのか知らないんだけど」
「……あれっ、教えてなかったっけ?」
━━アスナは、キリトがなんの委員会に入ってるのか知らないんだ。
まりあはそれが、少し嬉しかった。
「知らないなら、知らないままでいいよ。教えたくないし」
「そんなこと言わずに、教えてよー」
「絶対嫌だ」
「えーっ」
すると和人が、まりあにそっと耳打ちしてきた。
「……アスナ達には、絶対に言うなよ!」
──“アスナ達”
ということは、委員会について知っているのは、まりあだけなのだろうか。
思っていると、和人が更に囁いた。
「俺たちだけの秘密にしといてくれ」
━━俺たちだけの、秘密。
2人だけの秘密。
まりあは思わずくすっと笑い、小声で返した。
━━わかりました。
和人はそれに頷くと、まりあ横からそっと離れ、明日奈の隣に戻った。少し残念に思っていると、今度は明日奈がこちらへ駆け寄ってきた。
「まりちゃん、もしかして知ってるの!? だったらお願い、教えて!」
「え、ええと……」
ちらっと、和人を横目で見やる。和人はぶんぶん首を振っていた。まりあはにこっと笑みを浮かべ、明日奈に言った。
「いえ、知らないです。そもそもキリトって、委員会入ってたんですね? 意外ですー」
「そっかあ……。ふふ、意外ですって、キリト君」
「お、俺だって委員会くらいやるぞ、まりあ……」
そして、和人はまりあに言った。よく聞き取れなかったけれど━━
━━ありがとな
確かに、そう言っていた。
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