第二部 文化祭
第49話 2人だけの秘密
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「えっ?」
「あの2人、案外いい雰囲気だけど」
里香が明日奈、そして和人を指差して言う。
━━なんだ、そっちか。
まりあは一瞬、まさか心を読まれてしまったのかと驚いたのだ。
それにしても、里香の顔。
ほんのちょっぴり切なさを纏ってはいるものの、里香は心から明日奈を応援する確かな笑みを浮かべていた。
里香のような表情ができるようになった時、里香のように強くなれるのかもしれない。そう考えたまりあは、里香の表情を真似てみることにした。
「……むむむっ」
しかし、やっぱり難しい。まりあ自身が、明日奈を心から応援しきれていないからだろうか。
「……まりあ? なにニヤけてんの?」
しまいには、里香にドン引きされてしまった。
「ふ、ふえっ!?」
なんだか変な声まで出てしまったし。
「ちっ、ちが……ニヤけてなんかいません! わ、私は、ええと、その……キ、キリトとアスナがすごく仲よしさんみたいだから、微笑ましいなあと思ってただけですから、はい!」
なんか文法までおかしくなったし。
「ちょ、しっ……まりあ、そんな大声出したら!」
──和人たちにも見つかってしまったし。
和人がやれやれとばかりに嘆息する。
「……どーすんのよまりあ、あんたのせいで気づかれちゃったじゃないのっ」
里香が小声で言い、まりあの腕を肘で突いてくる。せめて責任くらいはとらねばと、まりあは和人に言い訳した。
「ぐ、偶然ですねー! わ、私、屋上大好きなんですよー。よく来るんです。今日は、屋上からの景色の綺麗さを里香に教えようと思ってここに来た次第なんですけど!」
「へえー。その割には、随分長く入口付近に立ってるんだな」
「えっ?」
「……俺、最初から気づいてたぜ。面白いからほっといたけど」
━━まさかの。
溜め息混じりに言った和人の隣で、明日奈は頬を真っ赤にし、彼に言った。
「ええっ!? ちょっと、キリト君! 気づいてたなら言ってよー。わたし結構、人に聞かれると結構恥ずかしくなるようなこと言っちゃった気がする……」
「はは、そのために黙ってたんじゃないか」
「も、もう!」
明日奈が和人をぽかぽかと物理攻撃を喰らわせる。
「アスナは可愛いですなー。キリトなんかじゃなくて、あたしの嫁に来てほしいわあ」
「キ、キリト“なんか”って……キリト君に失礼でしょー」
「はいはい、そうですねっと」
そんな明日奈と里香の横で、和人はなにやらブツブツ呟いている。
「……アスナとリズベットが……女同士で、いったいなにを……なにを……なにを……ッ!?」
和人の顔が、漫画ならボフンッと音がしそうなくらいに赤くなった。
「……キリト? あん
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