反董卓の章
第16話 「大丈夫――行ってくるよ」
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
雄の言う通りや。
この張文遠が……神速の張遼が、戦わずにして恐怖したんや。
それを華雄は見越した上で、ウチを下がらせた……その結果、おそらく華雄は死んだ。
数日とはいえ、三万で十万もの大軍を、そして盾二を足止めさせたんや。
それが……それが、ウチには許せへん。
自分自身が……許せへんのや。
「あいつにはさんざん世話焼かされた……あのバカのせいで黄巾にも負けたこともある。せやけど……それでも奴は戦友やった。なら……仇はとらんとあかんねん」
「………………ん」
恋はコクン、とだけ頷く。
……ありがとな、恋。
何も言わずに、ただ受け入れてくれるあんさんが、今はとてもありがたい。
「華雄……あの時退いてしまった借りは、今までのお前の失態と帳消しや。けどな……お前のくれた三日間。その命の代償だけは、きっちりととってやるさかい。お前さんの死を賭けた勇気だけ……今はもらうで」
ウチはもう……盾二に恐怖なんぞせん。
あいつは敵や。
ウチの胸に残った……憧れた想いは……ここで捨てたる。
「……恋、どない動く?」
「……ねねにまかせる。ねね……」
「はいですぞー!」
恋の言葉にすかさず飛んでくるちっこいの。
てか、よく声が聞こえたな。
「恋殿の言葉でしたら一里や二里離れていても聞こえますぞ!」
「……地獄耳やな」
「ねね……どうしたらいい?」
「まかせるのですぞ! 細作の話では、敵の部隊の先曲は袁術と孫策らしいです!」
「……盾二、いや、劉備やないんやな?」
「はいですぞ! 孫策軍は精強、袁術軍の足並みは乱れている上、実戦経験に乏しいとも聞くのですぞ。であれば、強力な孫策軍は恋殿で抑え、その隙に張遼殿が袁術軍を壊滅させる手でいくのがいいですぞ!」
袁術……確かに兵力は多いようやが、実践はほとんど孫策に任せとるから、実力はそんなでもないとは思う。
ウチとウチの子飼いの二万の騎馬兵なら、袁術軍を壊滅させるぐらい楽にできるやろ。
せやけど……問題は恋が相対する孫策軍。
ウチは宛でその精強ぶりを実際に目の当たりにしとる。
いくら飛将軍と言われる恋とはいえ……
「孫策軍は強敵やで? 恋、心して掛かりや」
「うん……まかせる」
「孫策軍は五千程度。危なくなれば、おそらく中曲にいる劉備が駆けつけますぞ」
「! 劉備は中曲……恋、孫策軍も強いやろが、劉備軍は更に強いで。盾二のみならず……関羽、張飛には要注意や。ウチと互角かそれ以上の使い手やで」
「……わかった。気をつける」
気をつけるて……大丈夫かいな。
いや……こう見えて恋は、ウチよりはるかに強い。
恋ならあるいは……愛紗や鈴々、あの盾二すらも超えるかも
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ