偽り姿を変える者
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ギルドにいる時である。もうグレイが脱いでいるのは日常的な事なので、綺麗に忘れていたが。
「犬がいる」
「犬?」
首を傾げ、ナツ達も茂みの中へと入っていく。
すると、そこにはじっと『犬』を見つめるティアと―――――――
「ほら、犬」
「どっからどう見ても狼ですけど!?」
ティア曰く『犬』、だがどうやって見ても狼にしか見えない『狼』がいた。
「酷い怪我だね・・・ナイフか何かかな」
かなりの怪我をしていた狼をとりあえずギルドに連れて帰ってきたナツ達。
今はギルド内で1番回復を得意とするルーに診てもらっている。
「どう?ルー。治せそう?」
「まだ怪我をして1日2日くらいしか経ってないっぽいからね。大丈夫!いけるよ!」
不安そうなルーシィに笑って見せ、両手に魔力を集中させる。
「風よ・・・癒しの光を運べ・・・大空治癒!」
魔法陣が展開し、空いていたテーブルに寝そべらせた狼が緑色の光に包まれていく。
最強チームメンバーは勿論、ミラやアルカ、エルフマンやカナ達も興味津々といった様子で見ていた。
数分後、緑色の光と魔法陣が消える。
「ふぅ・・・」
「ルー、治せたか?」
アルカが尋ねると、ルーは少し疲れを混ぜた笑みを浮かべた。
「うん。治せたよ・・・でも、少し魔力を使い過ぎたみたいだ」
そう言うと、目まいを起こしたかのようにふらつく。
慌ててアルカが駆け寄るが、ルーはふらつきながらも座り、狼を見つめた。
「にしても・・・何があったんだろうね」
「え?」
「だってこの傷、明らかにうっかり付けちゃった傷じゃないよ。故意に付けられたものだ。しかも、人間がナイフで、ね」
「そんな・・・!」
サルディアが息を呑む。
「動物に危害を加えるとは・・・気にくわんな」
「あー気にくわねぇ!よし、コイツ傷つけた奴ぶん殴ってくる!」
「待てスバル。お前は相手を知らんだろう。知っているのは、傷つけられたコイツだけだ」
ライアーが珍しく舌打ちし、スバルが怒りに任せながらギルドを飛び出して行こうとし、ヒルダがそれをセルリヒュールの先端から魔力の手を作って止める。
「もしかしたら、さっきの奴等がやったのかもな」
「考えられなくもない・・・現に、あの場所には多くの動物の骨や標本があった。自分達が殺した動物たちを標本にしていたのかもしれん」
「何よそれ!動物だって生きてるのに!」
ルーシィが憤慨する。
と、その時。
「・・・ん・・・」
小さい呻き声が零れた。
全員の目が、狼へと向かう。
「んんっ・・・くっ・・・」
ゆっくりと開かれた、吸い込まれてしまいそうなほどに神秘的な紫の
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