仲直り
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「そしたらもう、戻ってこないの?」
首を傾げながら悲しげな目を向けるマキに千李は小さく笑いながら、マキの頭を撫でながら告げた。
「ちゃんと戻ってくるわ。川神と湘南じゃ大して離れてもいないしね」
「ならよかった。じゃあ帰っちゃう時は私に言ってね?」
「ええ、勿論。約束ね」
「うん、約束」
二人は指きりをして互いに微笑みあった。
「ん……」
顔をしかめながらマキは目を覚ました。
「チッ……変な夢見ちまった」
軽く毒づきながらマキは起き上がると、辺りを見回す。マキがいる場所は海岸ではなく、畳が敷かれていた部屋だった。何処となく見覚えがあるこの部屋に、マキはさらに顔をしかめる。
「まさか……」
「三大ばあちゃんなら出かけてるからビクつくことはないわよ」
その声に肩をビクッとさせたマキは、すぐに振り向こうとするが、後頭部に走った鋭い痛みによって振り向くことが出来なかった。
すると千李はマキの横に腰を下ろしつつ告げた。
「結構強めに手刀浴びせたからまだ痛みが残ってるのね。ごめんね」
「こんなもんほっときゃ直るっての。つーか、なんで極楽院に運びやがった。あそこに放っておきゃあいいのによ」
「流石にそうは行かないでしょ。アンタ怪我してたし、それに聞きたいこともあったし」
「……くっだらね」
マキは吐き捨てるようにそっぽを向く。千李はそれに軽く溜息をつくと背を向けているマキに声をかける。
「マキ、アンタが怒ってる理由ってやっぱりあの約束のことよね?」
「……」
黙ってはいるものの、マキは少しだけ体をこわばらせる。
「……何も言わずにアンタの前からいなくなったことは本当にゴメン。完全に言い訳になっちゃうけどあの時は――」
「うるせぇ……」
千李が言いかけたところでマキが呟いた。
「もう気にしてねぇんだよ、約束のことは。確かに前まではお前のことが許せなかった。けどよ、だんだんわかってきたんだ。お前はかえらねぇといけないって事が……。頭ン中ではわかってたんだ、だけどお前がこっちに戻ってくると、どうしても身体の方が先に動いちまってさ。制御が利かなかったんだよ」
淡々と語るマキはいつもよりもとてもおとなしい。だが、何処となく声に含みがあるというか、くぐもっているように聞こえるのはおそらく、頬を膨らませているのだろう。
「だからさ、私も悪かった。別にお前だけ悪いなんてことはねーよ」
右手で頭をかきながらこちらを見ずに告げたマキは、器用に座ったまま千李のほうを向くと、千李を指差して、
「でもやっぱり釈然としねーから今夜メシ奢れ!!」
その顔は若干赤らんでい
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