仲直り
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に流れ、波の音だけが響く。
やげて二人の額から流れ出る血が、顔をつたい顎から落ちた血の雫が砂浜に落ちた瞬間、二人は同時に砂浜を蹴った。
「うらああああああ!!!!」
「はあああああああ!!!!」
気合の咆哮を上げ、二人は拳を構えながら一気に距離を詰める。ほぼ同時に放たれた二人の拳が激突する。互いに苦しげな表情を浮かべることはなく、二人は次の一手を繰り出す。
千李は一歩後退するが、マキは自分の体に走った衝撃を無視し千李に詰め寄ると、猛烈な速さで拳を放つ。しかし、彼女の拳は千李に入ることはなく、全て無力化されてしまう。
「チッ!!」
「ほらほら、また動きが大振りになってるわよっと!!」
憎々しげに舌打ちをうつが、千李は拳を受け流し、一瞬出来たマキの鳩尾に一撃を見舞いする。千李の拳はマキの鳩尾に直撃し、マキは体をくの字に曲げる。
「ぐっ!?」
危うく胃の内容物を吐き出しそうになるものの、マキはなんとかそれを押し留めると、額に汗を浮かべつつ千李に反撃をするが、千李はそれを易々と受け止める。そのままの態勢のまま、二人は互いを見据える。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「最初に私が言っただろうが!! そんなに教えて欲しきゃ私を倒してから聞けってな!!」
「そう……」
身体にダメージが残っていても噛み付くような口ぶりのマキに千李は目を細める。その一瞬、千李の自分を押さえつけている力が緩んだのを確認したマキは、千李の手を振り払い、マキは蹴りを放つ。
「これでも喰らっとけ!!」
マキの強烈な蹴りは的確に千李の頭を捕らえていた。
しかし、全力で放ったその蹴りは、無情にも空を斬っただけだった。
「なっ!?」
「――こっちよ」
驚いたのもつかの間、千李の声はマキのすぐ後ろにたたずんでいた。それに気付いたマキもすぐさま振り向こうとするが、次の瞬間、マキの後頭部にとてつもない衝撃が走った。
「がっ!?」
短く声を上げたマキはそのまま砂浜に倒れ付した。
かなりの衝撃だったためか、マキの意識は遠のいていく。しかし、完全に視界が暗転する前に、マキは千李の小さな呟きを聞いた。
「……ごめんね」
それに対し、マキは心の中で毒づいた。
――クソッタレ……。
マキは夢を見ていた。それはまだ自分が子供の頃の夢。
「ねぇ……センちゃんはどこかに行っちゃうの?」
「誰から聞いた?」
「聞いたって言うよりも聞こえたんだ。おばーちゃんと話してるのを」
「……そっか、聞かれちゃったんならしょうがないかもね。いつになるかわからないけれど、いずれ私は極楽院から居なくなるわ」
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