仲直り
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湘南滞在二日目の昼過ぎ、千李は人気のない砂浜に佇んでいた。すると、彼女の後ろから一人の少女がやって来た。
それに気付いた千李は小さく笑いながら振り返り、
「来ると思ったわ、マキ」
「テメェの気配なんざ嫌って言うほどわかるからな」
千李の声に顔をしかめながら答えたのは、湘南三大天の一人であり、千李の幼馴染である腰越マキだ。本名は極楽院マキだが、現在はそれを隠しているらしい。
マキの顔を見つつ、千李は頭を掻く。
……やっぱ気を察知してるのかもしれないわね。
「マキ、この場所覚えてる?」
「ああ、忘れねぇよ」
「じゃあ、いい加減私にアンタが何に怒ってるのか教えてくれないかしらね? 前々から妙な気はしていたんだけど、アンタ理由もなく怒る子じゃないわよね」
「ケッ……やっぱばれてやがったか。けどな、そう簡単に教えるかよ。教えてほしいんなら、力づくで聞き出してみろ!!」
マキは言うが早いか、砂浜を蹴り、千李に殴りかかってきた。
「やっぱりこうなるわけね」
千李は溜息をつきながらもマキのパンチを軽々と受け止める。しかし、マキはもう一方の手で千李に拳を放つ。だが、それを受け止められぬ千李ではなく、それもしっかりと受け止める。
普通であれば、ここで悔しげな表情を浮かべるのだろうが、マキは違った。
彼女は握られていた手を強制的に開くと、千李を逃すまいと、彼女の手をがっちりと握り返す。
「ラァッ!!」
その状態でマキは頭を振りかぶると、千李の額目掛け強烈な頭突きを放つ。
「っ!?」
すさまじい衝撃が千李の頭を襲うが、千李はマキと頭を合わせた状態で互いに睨みあう。すると頭突きの影響からか、千李の額から血が流れる。
「どうだ、千李。結構効いたんじゃねぇか?」
「……ええ、そうね。確かに効いたわ。まったく昔から石頭なんだから」
血を流しながらも千李は、落ち着いた様子でマキに言葉を返す。一方マキはしてやったりといった表情だ。しかし、千李もまたニヤリと口角を上げると、
「じゃあ、次は私の番」
言った千李は先ほどのマキと同じように、頭を振りかぶりマキの額に頭突きを見舞いした。
「ぐっ!?」
流石のマキもまさか頭突きが来るとは思っていなかったのか、顔を苦悶に歪ませる。しかも額からは千李と同じように、血が流れ始めた。
「これでまた振り出しに戻ったわね」
「……テメェ……」
小さく笑った千李はマキにがっちりと掴まれていた両手を振り払うと後ろに跳んで距離をとる。マキもまた腰を低くし、戦闘態勢に入る。
二人は流れ出る血を流し続けたままだが、気にも留めずに睨みあう。
数瞬の沈黙が二人の間
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