一部 高校一年
風間ファミリー
8話 ドイツから来た転入生
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「ああ、たくさん練習したからな」
クリスは自慢げに龍斗の方を向く。たったそれだけで、龍斗は男子の嫉妬の視線に襲われた。主にガクトとヨンパチの。
「うん、実に大したものだな。これならばコミュニケーションも大丈夫そうだ。誰か質問しがあるものはいるか?」
「はいはい!!」
小島先生の問いかけにガクトが真っ先に手を上げる。
「では、島津。品位を持ってな」
「うっす、え、えーとクリスティアーネ?」
「自分のことはクリスと呼んでくれ」
クリスは相変わらず凛とした声でそう付け足した。
「分かった。クリス、彼氏はいたりすんのか?」
「ばか!! それは!」
ガクトの発言で場の空気が一変した。慌てて龍斗が止めようとしたがもう遅い。
「そんなものいないに決まっているだろう!!!」
フランク中将が怒号とともに銃を抜きかけた。が、
「落ち着いてください、ここは日本です。・・・それに俺の仲間に銃を向けようとするのは許しませんよ?」
龍斗がいつの間にかフランク中将の銃を抑え、恐ろしい程の殺気をぶつけながらニッコリと囁いた。殺気はフランク中将にのみ向けたものなので、気づいたのは近くにいた小島先生くらいだった。
「ああ、すまないな。少々熱くなりすぎた。私はそろそろ帰らせてもらうよ。ああ、そうそう、マルギッテも一週間後に転校する予定だ。・・・娘に悪い虫がつかないようによろしく頼んだよ」
「ははは、分かりました。ってかマルギッテってもう20じゃ・・・まぁ、向こうに27の奴もいるから大丈夫か」
「さて、さっき父様も言っていたが彼氏はいない」
「ほかに、質問はあるか?」
「はい。じゃあ、日本語は誰に教わったんですか?」
小笠原があることを確かめるために質問をする。
「ドラマもあるが、一番はそこにいる、龍斗だ。二年前にドイツで会ってな、色々あってしばらくドイツにいることになり、その時に言葉や文化を教えてもらったんだ。自分は大和丸夢日記にはまってな、それで日本に留学することを決めたんだ。」
クリスは嬉しそうに話す。するとまたしても自然と龍斗に視線が集まり、ついには小島先生にまでため息をつかれたしまった。
「龍斗、どんだけ騙してんのさ・・・」
「コイツがいじりがいありすぎるのが悪いな、人の言うことを全く疑わないからつい楽しくなっちゃって」
モロの呆れてツッコミにもならないつぶやきに龍斗はもはや悪びれもせずにそう返した。
「む? なんだ龍斗、また自分を騙そうとしているのか? そうはいかんぞ、騎士はそう何度も騙されん!」
既に騙されていることにも気づかず、クリスは自信満々のようだ。先程までの凛としていたクリスの評価がどんどん変わっていく。
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