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駄目親父としっかり娘の珍道中
第47話 子供は大人の裏まで見ている
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すぐにでも恵んでくれよ。贅沢は言わねぇよ。とりあえず今すぐで10万用意してくれや」
 僧侶は思わずずっこけた。贅沢は言わないとか言っておきながらシレッと大金を要求する。
 そんな浅ましさが銀時の美点だと言う人も居たら嬉しいな。
「お、お前アホかぁ! 何所の世に謙遜しつつシレッと10万とか大金ねだる奴が居るんだよ!」
「此処に居るだろうが、此処に」
「あ、なる程……じゃないわぁ!」
 思わず納得させられてしまった自分に叱咤しつつ、僧侶は持っていた杖で地面を叩いた。
「情けない。お前の様な輩は仏の手により地獄へ落とされるが運命。心中お察し申すぞ」
「おいおい、気取るのも良いけどよぉ。坊さんやるんだったらその体に染み付いてる血の匂いを取り払ってからにしな。でなきゃ嘘っぱちだってばれるぜ」
 目元は見えないが、確実に僧侶の目元が曇ったのを銀時は察した。
 全身の筋肉が震えたっている。血が沸き上がっている。目の前に居るこの男を見て、銀時の体全身が振動しているのだ。

 −油断するな、こいつは武器を隠している!
   外見に惑わされるな、こいつはお前を殺す気だ!
    言動を信じるな、こいつの言葉は嘘で塗り固められた汚らしい代物だ!−

 四六時中銀時の中で吼え回っている。それを黙らせ、銀時は目の前の僧侶を睨んだ。
 既に承知の事だ。この男が仏に仕える身である筈がない。恐らくは刺客。
 今回桂が依頼した地上げ屋の件で奴等が雇った腕利きだろう。
 そして、その腕利きが同じように匂いを嗅ぎ付けてやってきただけの事だ。
「やれやれ、そんなに臭うかねぇ〜、俺?」
 ふと、腕を挙げて脇の臭いを嗅いでみた。その刹那、僧侶が動いた。
 疾風の如き速さで地を蹴り、銀時目掛けて突っ込んできたのだ。
 杖の真ん中部分が怪しく光る。中に鉄の色の輝きと不気味な臭いの染み付いた物が顔を覗かせた。
 仕込み杖だった。奴が持っていたのは仕込み杖だったのだ。
 一瞬の内に僧侶は銀時の後方に立っていた。一閃の如き居あい抜きであった。
 常人であれば恐らく胴体から真っ二つにされていただろう。
 だが、それは常人であればの話……
「おいおい、折角の一張羅が台無しじゃねぇか」
「!!!」
 僧侶の目の前には切れてしまった着物部分を見せびらかしながら不満そうな顔をする銀時の姿があった。彼自身に外傷はない。
 外したか? 嫌、咄嗟のタイミングでかわしたのだ。恐るべき反射神経と動体視力の持ち主だ。
「少しは腕が立つようだな」
「あんれれぇ? 何、お宅ライバル気取りのつもり? 止めときなって。どうせ三下程度の悪役キャラなんだろお前」
「うっせぇよボケェ! 人が気にしてる事をずけずけと言うんじゃねぇよ!」
 この動揺っぷり、どうかしなくてもこいつは
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