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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
龍を全然使わない龍使いシャインの奮闘記・14冊目
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それはそうだろう。何せこの世界のフェイトはその当時フェイトが思い描いていた理想・・・すなわち昔の優しい(実際にはちょっとおかしくなってたが)お母さんに戻ってほしいという願望がすんなり実現しているのだから。更にはもう会えないと思っていたリニスまで戻ってきて、いつの間にやら遊んでくれる兄弟や友達も出来て、まさに今までの不幸でチャージされていた幸運が一挙に押し寄せて来たかのような状態にある。
(なお、フェイトは未だにリニスが死後の世界から無理やりこちらに引き戻されたことを知らなかったりする。これは”無限力があれば人造魂魄を内包した存在を蘇生できる”という事実が広まればそれを巡って様々な厄介事が起きるであろうことを憂慮して敢えて教えていないのだ。)
・・・羨ましいなぁ、あんなに楽しそうで。私だって、何かを掛け違ってたらあんな風に・・・誰かが助けてくれればあんな風に・・・私も、そうなりたかったよ。
「・・・私も、貴方みたいになりたかった」
「そうだね。誰だってきっとそう思う」
「でももうなれない」
「・・・そうだね。きっとあなたが今から私のお母さんの子供になっても、貴方のお母さんと笑い会える日は来ない。だって―――違う人だから」
そう、フェイトとフェイトは同じ名前で同じ生い立ち、同じ容姿なのに決してで同一存在ではない。一度終わってしまった時間はもう二度と戻ってこないのならば、フェイトは同時に存在している時点で既に違う。
それを認識してしまった今、残滓であるフェイトは「母のためにジュエルシードを集める」という行動理念を喪った。同時に自分の存在意義も。
「もうどうにもならないや・・・でも良かった」
「何が?」
「今、こうして体を得て、暴れて、倒されて、おしゃべりして・・・それを一つでもしなかったら―――私は間違ったままずっとあそこにいただろうから」
「・・・私には分からない。それっていい事なのかな?」
「いいことだよ。諦めないことは大事ってよく言うけど・・・”諦めきれない”ことは辛いだけだもん」
「その結果自分が居なくなっちゃってもそう言えるのかな?」
「言えないよ。だって未練が無いから他の魂は何も言わずに逝っちゃうから言う暇もないし」
「そういう問題?」
「そう言う問題」
眉間にしわを寄せてうんうんと唸るフェイトにくすっと笑いが零れた。生きる人間には諦めないことが必要だが、死者は諦めることが必要なのかもしれない。諦めきれない存在が”呪い”や”地縛霊”、”幽霊”になると考えればこの推論は当たっているかもしれない。
死者には死者にしか解らない価値観がある。
それが分かっただけでも、この世界で体を得たことに価値はあった。
この先私が何所に行くのかは分からないけど―――それは生きていた時と変わらない不
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