例えばこんな――
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私の子が遂に世界の中心で愛を叫んでるよぉぉーーー!!!」
テンションが吹っ切れてここ数年見せなかったような破顔をしている束が自分の師匠とも言えるビアン・ゾルダーク博士の背中をバンバン叩く。力加減を間違って力士の張り手並みの威力になっているのだが、ビアン博士はその衝撃を体術の一種で器用に逃しながらモニターを見つめて笑った。
息子の晴れ舞台を見に会場まで来ていたが――
「ほほう・・・・・・・・・リューガの奴困ってる困ってる。ルーシィはもっと興味深い反応だが」
「って見るのはそっちじゃな――――ーい!!」
「オウカ!一生俺のパートナーになってくれますか!?いや・・・もういいや、この際言っちゃえ!!すー、はー・・・すぅーっ・・・・・・オウカぁぁぁーーーーーッ!!
一人の女の人として、結婚してくれぇぇぇーーーーーーーッ!!」
『け、結婚ッ!!け、けっこん・・・・・・する!!一人のオンナノコとしてゴエモンのお嫁さんになりたーーーーーーーーいッ!!』
その瞬間、オウカのフレームがゴエモンの身体から完全に量子化消滅し、その光がゴエモンの目の前に収束した。その光は何度か見たことがある――形態移行の光。オウカが新たな姿へとシフトしようとしている。
その光は桜色の閃光をアリーナに振りまき――
桜色のハレーションをネットワークに通して世界中のコアに振りまき――
桜色の恋心をゴエモンのために振りまき――
やがて――
「ゴエモン!!」
その光の中から、ウェディングドレスを着た一人の少女が――もうその形態移行によって完全に人になってしまったオウカが――飛び出してきた。
「「「「「「「「えぇぇぇ〜!?いやいやいやそうはならないでしょ!?」」」」」」」」
会場からの総ツッコミも耳に入らずゴエモンは何の迷いもなくそれを受け止める。両名の顔は歓喜と幸福に満ち満ちて、これほど唐突な流れにも拘らず幸せの絶頂に達していた。
桜色の唇に、ぱっちりした目元。しゅっと整った顔立ちに垣間見える幼さ。
細身ながらも女性らしいふくらみを備えたしなやかな肢体。
ポニーテールにまとめられた艶のある黒髪。
ゴエモンの良く知っている、人間形態のオウカに見える。
だが、最早彼女はそんなものではない。
その心臓の鼓動が全てを証明するように――
いや、もうどんなものかなど――どうでもいい。
今や2人には世界の全てが見えていなかった。
周囲の人間がどうとかそのような次元を突破した世界にいた。
彼らの中で、世界の構成人数が2人になった。
わたしとあなたと、それだけいればそれでいい。
そこはもう2人にとっての結婚式会場であり、既に愛の契りは終えていた。
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