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IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
16話
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俊吾の胸ぐらを掴んだ。箒の目には怒りと悲しみと失望と……後悔があった。

「私は……私は、私のせいで一夏にこんな傷を負わせてしまった…………。私が、しっかりしていればこんなことにはならなかったんだ!それはお前はさっきから……!何の後悔もしていないお前に何が分かるんだ!!!」

……何の後悔もしていない、ね。今、何となく分かった。何で、こんなに箒さんを気にかけていたのか。俺と似てるからだ。根本的な所では違うけど、あれがこうだったら……って何回も後悔して…………。そんな時の俺に似てるんだ。だから、こんなにも苛立つのか。自分の情けない部分を見ているようで。

俊吾は箒の目をしっかりと見つめ言った。

「ああ、俺には分からないね。まだどうとでもなるのに何もしないヤツの気持ちなんて分からねぇよ!分かりたくもないね!!!やり直せるならやり直せよ!お前にはまだチャンスがいくらでもあるだろ!!!!俺とは違ってチャンスがあるだろ!!!失敗だって取り返せる!一夏だって別に死んだわけじゃない!だったら!汚れたっていい!醜くてもいい!足掻いたっていい!どんな手を使ってでも取り戻せよ!!!」

俊吾は吐き出すかのように矢次早に言った。お陰で息が切れている。その様子を見て箒は呆然としていた。普段温厚な俊吾が怒鳴るように言ったという事もあるが、一番は俊吾が言った内容だ。自分にはチャンスが無かった。俊吾の台詞からそう読み取れる。その意味は一体どういうことなのだろう。もしかしたら、自分は何か失礼なことを言ったのではないのだろうか。そういう思いが心を駆け巡った。

だが、俊吾の言葉で全てが吹っ切れた。たとえ、どれだけ地を這っても全てを取り戻す。信頼関係も友情も一夏に恩返しするということも。こう言う風に思っている人がいるだけで、これだけ心が軽くなる。そんな実感をしていた。

「……すまない。私はまた甘えていたみたいだ。今の状況に、今の待遇に。……俊吾、ありがとう。お前のお陰で気づかせてもらえた。本当にありがとう」

そういう箒の目は力強い何かを秘めていた。その目になれば、俊吾の役目は終わった。

「いや、俺は背中をしただけだよ。あ、あと、怒鳴ったりしてごめん」

「今の私にはそれがぴったりだった。気にするな」

「そう言ってもらえるとありがたいよ」

正直、途中から色々とボロったからな……。箒さん、気づいてなければいいけど…………。

「…………俊吾。さっき言った事、あとで少し聞かせてくれないか?お前に何かあったかを」

「……聞いて面白い話じゃないと思うけど?」

「それでも聞かせてくれ」

「…………そこまで言われたら断れないかなぁ」

はぁ、正直みんなには黙ってたかったんだけどな…………。でも、聞きたいっていうなら断るのも
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