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IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
16話
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…行ってあげたら…………?」

「……え?」

簪からそう言われ、俊吾は面食らったような顔をした。

「だって……凄く気になってる顔してるし…………。それに、その顔になった俊吾君って……助けたいってときだもん…………」

心の中を見透かされ驚いていた俊吾だったが、視界の端に入った楯無の顔も簪と似たような顔になっていて居心地が悪くなった。

……俺ってそんな顔に出るタイプだっけか…………。というか、この二人には何考えてても見透かされそうな……ああ、あとシャルも似た匂いがする…………。まぁ、でも……決心がついたかな。

「……じゃあ、お言葉に甘えて行ってくるよ」

俊吾は立ち上がりながらそう言った。そして、部屋を出るときに

「え、と……その、二人共、ありがとう」

と言って出ていった。

◇   ◆   ◇   ◆

旅館の一室。そこには体中を包帯で巻かれた一夏が横たわっており、その部屋の隅で膝を抱えて縮こまっている箒がいた。

「私は…………また、取り返しのつかないことを……………………」

何度目になるか分からない呟きが漏れる。作戦が失敗に終わってから箒は動かないで動けなくなった一夏を見てはその呟きを漏らし続けた。何をすればいいのか分からないのだ。自分は力を持つとその力を行使したくて仕方なくなる。いつもそうだいつもそうだ、と心の中で自分を攻め続けている。

そして、その部屋の外に見慣れた顔があった。

「あれ、鈴さん。何してるの、こんな所で」

俊吾が声を掛けると、鈴の体がビクっと跳ねた。声を掛けられると思っていなかったのだろう。

「な、何だ、俊吾か。あ、あんたこそ何しに来たのよ」

気を取り直すかのように鈴は言った。

「いや、箒さんに言いたいことがあって。鈴さんこそ、何してるの?」

まぁ、予想はつくけどな、ここにいる時点で。大方、箒さんを叱咤しに来たんだろう。

「私は別に何もないわよ。箒は中にいるだろうから早く行ったら?」

「そうさせてもらうよ」

俊吾は鈴が気を使ってくれたと思い、少し微笑みながらそう言った。そして、部屋の中に入る。中には変わらず、動かない一夏と箒がいた。

「箒さん、いつまでそこにいるの?」

「…………」

「……はぁ、そうやってれば問題が解決すると思ってる?」

「…………」

「確かに、君は取り返しにならないような失態を犯した。でも、あくまで『ならないような』だ。まだやり直しはきく。なら、何でやり直そうとしない?分かってるだろう。そんな事をしても、何にもならない事ぐらい。俺だったら、やり直すために奔走するね」

「…………が分かる」

「…………」

「お前に何が分かる!」

箒はそう言って、
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