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ギザギザハートの子守唄
第八章
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とお父さんに話したのよ」
 少し俯いてから。申し訳なさそうに俺に言ってきた。
「あの時のこと。私が誘ったって」
「あの時のことをかよ」
「最初は信じてくれなかったけれど」
 それはわかった。あの親父さんはかなり頑固だ。それに娘を何処までも可愛がってる。だからあの時も派手に殴られまくった。その時の記憶も蘇った。
「けれど何度も話して。やっと」
「そうだったのか」
「今度は私が殴られたわ」
「殴られたっておい」
 俺が殴られた時は気絶した。あれを女が受けたらどうなるか。これもすぐにわかった。
「大丈夫だったのか?それで」
「何とかね」
「何とかっておい」
「そのことはどうでもいいの」
 けれどこのことはどうでもいいと。言ってきた。
「大したことじゃないから」
「そうなのかよ」
「そうよ。それでね」
 殴られたことをあっさりと終わらせて。そのうえでまた俺に言ってきた。
「あんたのことも言ったわ」
「俺のこともかよ」
「このことも何度も言って」
 俺のことまで話していたなんて思わなかった。まさかこんなことになるなんても思わなかったから。だから余計に思った。信じられなかった。

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