第五話「人間界」
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ないという点がある。さらには元が夢のため、夢の中の物を持ち帰っても瞬く間に霧散する。
「このダイブゲームを改良して、さらに独自のプログラムを加えることで次元断層に穴を開けることが成功したのよ! 人一人が通れるくらいの小さい穴だけど」
次元の壁という隔たりに僅かな穴を開けることに成功した俺は生身で人間界に赴くことが成功したのだ! ……理論上は。
「すごいじゃない! それを公表すれば――」
「あー、ダメダメ。ここには人間を蔑む輩がウヨウヨしてるんだぜ? そんな奴らに生身で向こうに行く術が見つかりましたって言ってみ。アイツら息巻いて人間たちを根絶やしに行くぞ?【眠り仔】だとシナプスの機器を持って行くことができないからな」
シナプスには素粒子変換装置を始めとした人知を超えた機器がいくつも存在する。その代表的なのはエンジェロイドだ。昔はエンジェロイドたちを向かわせて人間たちを虐殺していたが、自分の手で行えると知れば、アイツらのことだ。狂喜乱舞するに違いない。
「それは……そうね。確かにアルくんの言う通りだわ」
「だろ? つーことで、ちょっくら実験も兼ねて人間界に行ってくるわ」
「ちょっと待って! えっ、もしかして今から行くの!?」
「そりゃそうだろ。思い立ったが吉ってな。んじゃ、そういうことだから!」
しゅたっ、と敬礼のように手を上げて用件を済ませ、呆然としているダイダロスを背に家を飛び出た。
自宅に戻り装置の最終点検に取り掛かる。とはいっても数分で済む程度のチェックだが。
装置を弄っているとイカロスたちが研究室にやって来た。
一人で行くのも味気ないので誰か行かないかと誘ってみたところ、エンジェロイド娘たち全員が手を上げた。
「えへへ、マスターと一緒に人間界に行けるなんて、楽しみね!」
「でもニンフ、ダウナーのいる世界なんてなんか嫌な感じじゃない?」
「ちょっとアストレア! そんなこと言うとマスターに起こられるわよ」
ニンフとアストレアが言い合いながら後に続く。その後ろではタナトスとイカロスが仲良く会話を弾ませていた。
「イカロスちゃんは人間界に行ったことがあるのよね?」
「はい……」
「楽しみだわ〜。私は言ったことが無いから。話には聞いていたけど、どんなところかしらね〜?」
いつものメイド服姿のタナトスが頬に手を当ててポワポワと思いを馳せる。ここまで浮かれているのも珍しいな。
「人間界か……。行ったことはあるけど、あの時はこうしてゆっくりするなんて考えられなかったからなぁ」
「だね。なんか不思議な感じ。マスターや皆とこうして
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