Introduction
第十三話 亡国機業
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明した。
「……そうか」
亡国機業の名前を出したとき、一瞬千冬さんの表情が曇った気がしたがすぐに元の表情に戻る。そのことに違和感を感じつつも聞ける雰囲気ではないので、そのまま千冬さんの言葉を待った。
「篠ノ之博士が来るということで学園の警備もそちらに集中してしまった弊害か。だが警備が厚くなったタイミング、ましてや生徒を狙ってくるとはな。お前たち、特に怪我をした西園寺には済まないことをした」
「いえ、この怪我は自分の油断が原因ですし、警備に関しても状況を考えれば仕方ないかと思います。なので気にしてませんよ」
「そうですね、私も警備の穴を埋める心づもりだったのですが結局取り逃がしてしまいましたし、責めるつもりもありません」
「そう言って貰えると助かるよ。とはいえ、何か埋め合わせはしてやりたいな。どうだ、今度剣の稽古でもつけてやろうか?」
「「……前向きに検討します」」
まさかの提案に言葉が詰まる。確かに千冬さんに直接教えてもらえるのはISにしろ生身にしろ有益なのは間違いないけど、何故か危険を感じるのは気のせいだろうか。楯無さんも同様だったのか答えが重なった。そんな僕らの様子に千冬さんは苦笑している。
「さて、現場を山田先生に任せてきたからな、そろそろ戻らねば。更識も午後は試合があるだろうしそちらの準備に入れ。あぁ、ちなみにこの辺りの警戒も強めるから西園寺は安心して大人しく寝ていろ、無理して動き回るなよ」
「……わかりました」
千冬さんはそう言いながら部屋を後にする。警戒を強めるということは逆を言えば見張らせてるから部屋から出るなよと言っているようだった。こうなると大人しく寝ていないと後で何されるか分かったもんじゃない。
「それじゃ、優勝してくるわね」
「ちょっと近所に買い物行ってくるみたいノリで優勝とか言わないでよ」
「だってあなたがいないトーナメントなんて物足りないもの。フォルテちゃんもなかなかだけど、まだ荒いしね」
「はぁ、まぁ頑張って」
「はいはい、あなたはちゃんと寝てなさいな」
楯無さんも軽口を叩きながら部屋を出て行った。そのおかげか、先ほどまでの陰鬱とした気分はいくらか晴れている。それを狙ったのかはわからないけど、とりあえず楯無さんに感謝をしつつ僕は大人しく寝ることにした。自分で思った以上に神経を張りつめていたのか、目を閉じるとすぐに意識が遠のいていった。
どれくらい時間が経ったのだろう。ふと、体に違和感を感じて恐る恐る目を開けてみるとそこには……。
「ウサミミ?」
兎……ではなく束さんが僕の体を跨ぐようにして乗っていた。
「あ、起きた? 大変だったみたいだね!」
「た、束さん、なんでここに!?」
ここの警備は厳重にするって千冬さんが
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