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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第十三話 亡国機業
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た。とはいえ、千冬さんはISを持っていない。それは亡国機業も分かっているはずなのに、それでも迷わず撤退を選ぶあたり亡国機業の千冬さんへの評価や危険度認定の高さが窺える。まぁ、僕も千冬さんならもしかしたら生身でISに勝てるんじゃないかとか思ってしまう時があるんだけどね。

「事情はあとで説明します、負傷していますのでまずは医務室へ」
「なに……わかった、私が運ぼう。話は向こうで聞こう」

 楯無さんが言うや否や、僕は千冬さんに抱きかかえられる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。
 いやいやいやいや、女の子の憧れかもしれないけどそれはダメ! しかも女性にされるなんて男としてどうなのさ!? 

「ちょ、ちょっと千冬さん!? さすがにそれは恥ずかしいというかなんというか」
「恥ずかしがっている場合か。しかし、傷の割に意外と余裕があるな?」
「あら、ナイトとお姫様みたいで絵になってるわよ、他の生徒が見たら卒倒ものね」

 思わず拒否しようとしたら、案外余裕があると思われたのか落ち着いた様子の楯無さんにまで弄られる。
 もうやめてください、脇腹の傷より心の傷の方が致命傷になりそうなんですけど……。
 抵抗虚しく僕はそのまま抱きかかえられ医務室に連れて行かれた。実際に、その光景を見た生徒が何人か卒倒したり目を輝かせていた気がするけど僕は見なかったことにした。



「さて、話を聞く前に西園寺。お前はトーナメントには出るな、棄権しろ。その傷では一般生徒はともかく勝ち進んだあとのサファイアや更識との戦いで悪化しかねん」
「そんな! 自分の試合までには出血も止まりますよ」
「お前に選択権はない。だいたいお前は前回の更識との模擬戦では体調万全でも気を失ったんだぞ。それでも出たいというなら、そうだな。私がお前を寝かしつけてやろう」

 有無を言わせぬ迫力で宣告する千冬さんに対してそれ以上僕は何も言えなかった。もしここで駄々を捏ねれば物理的に寝かしつけられることになっただろう。
 正直、楯無さんやフォルテさんとの再戦は割と楽しみだっただけに、自分の失態が招いたこととはいえトーナメントに出れなくなるのは割とショックだった。
 
「さて、それでは説明してもらうぞ」

 大人しく従う様子の僕を見て、千冬さんは僕たちに先ほど起こったことの説明を求める。
 それに対して主に楯無さんが事の顛末を説明した。当然、校則に触れる部分に関しては隠して……。楯無さんの説明は矛盾もなく勘ぐる余地は無いとはいえ千冬さん相手にどこまで隠し通せるかは微妙なところだ。
 もっとも、状況が状況だけに別にバレても問題は無いとは思うけど、避けられる面倒事は避けておきたいのが本音。ちなみに亡国機業が恐らく関わっているであろうこと、狙いが僕の専用機だったということは説
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