一部 高校一年
川神一子の師範代ロード
3話 試練の始まり
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で合格し、才のあるものでも厳しい川神院の修行に、血反吐はきながらついていき、今では自分でそれ以上の修行をこなして、誰よりも多くの時間を修行に費やしている。勇往邁進か、誰よりも努力してるワン子にぴったりの言葉だな。
だが、そんなワン子に私は厳しい判断を下さなければならない。何度思ったことだろう、どうしてワン子には武術の才能がないのだろうと、どうしてもワン子は報われないのだろうか。たった一人の最愛の妹の夢を、自分が誇りたいと思うたった一つのものを、どうして奪わないといけないんだ・・・どうして・・・。百代はやりきれない気持ちを胸に抱きながら、夕日に照らされながら懸命に薙刀を振るう少女を見ていた。
川神院 鉄心の自室
「さて、まずはルーの意見を聞こうかの」
長いヒゲを蓄えた老人が禿げ上がった頭を掻きながら切り出した。この老人は川神鉄心。川神院の総代にして、かつてヒューム・ヘルシングや橘兄弟と世界最強の座を争っていた猛者である。ヒュームとは違い、現役を引退し、老いてなおその実力は世界でもトップクラスであり、壁を越えた者の一人である。
「私ハ、まだ伸びしろもあると思いますシ、一子の努力を見ていると、まだ決め付けるのは早いんじゃないかト」
同じく壁を越えた者で、川神院の師範代でもある。一子を直接教えている師匠でもあるので、一子の努力を誰よりも見てきており、自分も努力で師範代まで登り詰めたので、前向きな意見だった。
「ふむ、百代はどうじゃ?」
「わたしは、今日の試合を見ていたが、あれではおそらく無理だろう。これ以上判断を伸ばすのはワン子の為にもしたくない。」
「わしも同意見じゃな」
「ですガ、いきなりそんなことを言われてハ、一子も受け入れられないと思いマス。もう一度、最後のチャンスを与えてはどうでしょう」
「そうじゃのう、格上の相手に試合で勝ったことも考慮して、夏休み前に最後に百代と組手を行ってもらう。その時に百夜に判断してもらう、よいな?」
「ああ」「ハイ」二人共頷いた。
「すまんのう、モモ、お主には辛い役目を負わせる」
「気にするなじじい、次期総代としてやらなければいけないことだ」
百代は表情を変えずにそう返すと部屋から出ていった。
「一子が川神院に来たばかりの頃、少しでもわし達と近づきたくて、武術を始め、姉に憧れ、師範代を目指した。川神院という場所が一子に過酷な道を歩ませてしまったのかもしれんのう」
「そうかもしれませんネ」
百代の部屋
・・・ワン子のためにも早く伝えるべきなのに、判断を下すのが伸びて安心している自分が嫌になる。もし、あの時、自分に武術以外の力があればワン子に、ほかの道を選ばせることもできたんじゃないか? 今更こんなことを考えても仕方がない
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