一部 高校一年
プロローグ
1話 帰ってきた男
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ある病院の一室、その部屋にはひとりの少女がベッドに寝ていた。見たところ少女に外傷はないが、その少女の近くに座っている執事のような格好をした品の良さそうな老人は険しい顔をしていた。外では何やら話し声が聞こえる。話し声の様子からして穏やかな雰囲気ではないようだ。老執事はため息をついた。
扉の前では先ほどの執事と同じ格好だが、こちらは先ほどの執事のような穏やかさがなく、年齢は同じくらいのはずなのに2メートル近くありそうな体格と獅子を思わせる金色の髪と髭、何より相手を威圧するようなオーラがあった。その執事の名前はヒューム・ヘルシング、九鬼という世界トップレベルの大企業の千人いる従者部隊の永久欠番である零番を持ち、かつて世界最強を争っていたほどの男だ。そんな執事と一緒にいたのは、先ほどの少女と同じか少し幼いくらいの少年がいた。少年は先ほどの少女とは対照的に腕にはギブスを付け、頭と胸に包帯が巻かれており、誰の目から見ても重傷だというのは明らかだった。
「何で清楚に会わせてくれねーんだよ!!」
少年はギブスの付いていない方の手で執事に掴みかかり叫ぶが、すぐに苦しそうに胸を抑えてしゃがみこんでしまう。
「貴様のような赤子が俺に掴みかかる度胸は評価してやる。が、今回のことで貴様も痛い目にあってわかったはずだ。清楚と貴様とでは住む世界が違うのだ。」
「関係ねーよ、なんで人に会うのに資格が必要なんだよ!」
少年は胸を抑えていまだ立ち上がれないが、目だけはしっかりとヒュームを見据えていた。
「まだわからんか、清楚にとって貴様の存在が大きくなりすぎた。九鬼にもまだまだ敵が多い。今の貴様では自分どころか清楚まで傷つける。そして貴様のような赤子ではいずれ命を落とす。貴様のためにももう会うなと言っているのだ。」
ヒュームは厳しい口調でそう言った。
「何だよそれ…、俺の力が足りないせい? ふざけんなよ、だったら誰よりも強くなればいいんだろ。」
「ん?」
「誰よりも強くなればいってことだろ、なってやるよ、世界最強にな!!」
「ほう、中々面白いことを言う赤子だな。ならば、ここで俺を」
「何を馬鹿なことを言ってるんですか。清楚が目覚めました」
先程まで部屋にいた老執事が出てきた。この老執事はクラウディオ・ネエロといい九鬼家従者部隊の序列3番であり、完璧執事の異名をとるほどの有能さを誇っている。
「どうだった?」
ヒュームがクラウディオに少年には聞こえない音量で耳打ちした。
「やはり、まだ混乱しています。おそらくこの少年を傷つけてしまったことによる精神的なダメージがよほど大きかったのでしょう。このままだと少しまずいですね。」
「清楚が目覚めたのか!?」
先程まで立ち上がることすらでき
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