第T章:剣の世界の魔法使い
ユイの心
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まないでください。今度私が料理してあげますから」
「マジで!?」
「はい」
食べ物の話になると、キリトは途端に子供のようになる。小学生か、と思ってしまうほどだ。確かキリトはシェリーナより一歳年上なので、今年で十六歳になるはずなのだが……。
「知ってますか?カエル肉という物はカレーライスに入れることが多かったらしいです。アメリカザリガニは、もともとその食用ガエルのエサとして輸入されたものが、驚異的な繁殖力で増加してしまったのが日本定着の始まりだと言われています」
「……何でそんなこと知ってるんですか?」
「暇だったので覚えました」
突然会話にドレイクが割り込んでくる。ドヤ顔でアメリカザリガニの起源を騙るドレイクは、なぜか非常に生き生きして見えた。
「ドレイク、会話に無理やり入り込んでくるのは、私たちじゃなければ嫌われてしまう要因になるので気を付けてくださいね」
ドレイクは記憶の長い間を《母》である浅木藍との二人だけで過ごしている。その後は《エネマリア》のモンスターとだけだ。シェリーナが、彼が初めて出会う、《母》以外の人間だったのだ。つまり、ドレイクは『もってはいても理解していない知識』、特に人間関係に関するそれが多い。ドレイクがせっかく多くの人と関わるチャンスがあるのだ。彼には周りの人から好印象を持ってもらいたい。
「了解しました」
ドレイクがうなずく。
シェリーナ達が歩いていくにつれ、モンスターもだんだん強くなってくる。カエルやザリガニたちはそのサイズをどんどん肥大化させていき、さらに階層が低くなっていくにつれて、モンスターは水生生物から幽霊や幽体へと変化していった。オバケ系のモンスターはアスナ&シェリーナの最も苦……専門外だ。そこから先はほぼキリトの独断場であった。
「そろそろ最奥部ですね」
ドレイクが呟く。キリト・アスナ・ユリエールには、ドレイクはかつてこのダンジョンに挑んだことがある、といったふうに解釈されているようだが、それは違う。ドレイクはこのダンジョンのマップデータにアクセスし、ダンジョンの見取り図を手に入れているのだ。GM権限の行使は茅場晶彦に《介入者》の存在を気付かせてしまう可能性があるが、この程度ならいくらでもごまかせるらしい。もっとも、先のボスドロップジェネレート事件は、結構危なかったので二度とやらないと言うが。
「奥にプレイヤーが一人いる。グリーンだ」
「……シンカー!」
キリトの言葉を受け、ユリエールが駆け出す。一直線の道の先には、光の漏れる部屋……安全地帯だ。そこに、一人のプレイヤーの姿がある。《遠視》スキルでそれを見ると、天然ボケとビジネスマンが混ざったような柔和な顔つきをした、『実にどこ
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