第T章:剣の世界の魔法使い
軍
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「あのー、どなたかいらっしゃいませんか〜」
アインクラッド第一層、主街区《はじまりの町》、東エリア。子どものプレイヤーたちが暮らしているという教会にやってきたシェリーナ達だったが、教会の中には誰もいなかった。アスナが声を張り上げるが、反応は一向に帰ってこない。
「……いないのかな」
「出直します?」
「いや。いるぜ。右の部屋に三人、左の部屋に四人……」
「それに二階にも二人ほどいらっしゃいますね」
キリトとドレイクがアスナ、シェリーナの言葉を否定し、すらすらと答える。ポカーンとそっちの方を見て固まるアスナ。確かアスナは索敵スキルをあまりあげていなかったはずだ。シェリーナも索敵スキルを今は切っていたので、キリト達が索敵スキルを起動させていたことに驚いた。
「……索敵スキルって、壁の向こうの人数まで分かるの?」
「熟練度980からだけどな。便利だぜ?アスナもあげろよ」
「いやよ。修行が地味すぎるんだもの……」
シェリーナはドレイクの方を見て、彼に聞いた。
「ドレイク、彼らはどうして隠れているんでしょうか……」
「分かりません。けれど、もうすぐわかるでしょう」
その言葉を待っていたかのように、ドアがガチャリ、と音を立てて開いた。中から出て来たのは、簡素な修道服を纏った、おとなしそうな女性だった。気弱げな顔に黒縁の大きなメガネをかけている。
「……《軍》の方じゃ、ないんですか?」
「《軍》?」
なぜ今その名前が出てくるのだろうか……。
アインクラッド第一層を本拠地とする、巨大ギルド《軍》こと《MMOトゥデイ》は、アインクラッド第二十五層の攻略戦で精鋭部隊がほぼ全滅、それ以来ホームである一層に引きこもり、時々犯罪者プレイヤーらの確保に出てくるくらいだった。先日、第七十四層に来た精鋭部隊は結局任務に失敗、再び《軍》は最前線に出ることをあきらめたと聞いているが……。
「違いますよ。人を探しているんですが……」
「ほんとに、軍の徴税部隊じゃないんですね!?」
アスナがこくりとうなずくと、女性はぱぁっ、と顔を輝かせ、ドアの奥に顔を向けると、「みんな、大丈夫よ!」と叫んだ。女性は再びこちらに向き直ると、
「申し訳ありませんでした。私、ここで子ども達の保母をしている、サーシャと言います。失礼しますが、あなた方は……?」
「キリトと言います。こっちはアスナ。最近上の層から越してきました」
「シェリーナです」
「ドレイクと申します。以後お見知りおきを」
ぺこりと頭を下げると、直後、扉の向こうから幼い子供の声がした。
「上の層!?ってことは本物の剣士なのかよ!」
わーわーと叫びながら、十人近くの子ども達がなだれ込んでくる。男女比は7:3ほど、全員年齢は
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