第T章:剣の世界の魔法使い
軍
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言いたいくらいです」
「え……?」
少し長くなりますがいいでしょうか、というユリエールを教会の中に案内する。クッキーをたべていたユイが顔を上げる。心配そうな表情をする子ども達に、サーシャが大丈夫よ、と声を掛ける。
ユリエールは、語り始めた。
「もともと、軍はこんなことをするギルドではありませんでした。そもそもは、ドロップしたアイテムやお金、食事を分け合おうとするボランティア的なギルドだった……」
「わたしも、お世話になりました」
シェリーナが言うと、ユリエールはそうですか、とほほ笑んだ。
「もともとの名前は、《MMOトゥデイ》ですよね。たしか創始者の名前は……」
「シンカー」
ユリエールが、悲痛な表情でその名前を口にする。
「軍が今の様なギルドに変わってしまったのは、キバオウと言う男が台頭したせいです。MTDは情報や食料を均等に分配することを目的としていました。けれども、シンカーが放任主義なのをいいことに、悪事を働く者が出てきて……。キバオウが権力を握ると同時に、シンカーは完全にリーダーの座を奪われてしまいました」
キバオウ、という名前を聞いたキリトとアスナが目を見開く。
「キバオウって、あの、関西弁でサボテン頭の……?」
「あ、はい。知ってるんですか……?」
「知ってるも何も……」
「序盤の方で一緒に戦った人よね……」
シェリーナが攻略に参加し始めたのは十三層からだ。そのころには、もう《攻略組》の形が出来上がっており、プレイヤー達と言葉を交わすことはあまりなかったが、確かにそんな身なりのプレイヤーがいたような気がする。
「キバオウが権力を握ってから、MTDは《アインクラッド解放軍》に正式に改名、ついこのあいだ、七十四層に繰り出していったのも彼の派閥です。……その節では、キリトさんにはお世話になったようで」
「いえ……でも、二度とあんことしない方がいいですよ」
苦笑するキリトとユリエール。ユリエールは真剣な表情に戻って、
「あのことで多大な被害をこうむったキバオウを、ギルド内で糾弾する声が大きくなり、もうすぐでキバオウを追放できる、というところまで追いつめたんです。けれど……三日前、追い詰められたキバオウは、回廊結晶を使って、『丸腰で話し合おうやないか』とシンカーをダンジョンの安全地帯に誘い込んだのです」
ユリエールが関西弁の口真似と共に、その時の様子を語る。
「シンカーは基本、人を信じるので、それにたった一人で付いていって……結果……そこに、三日も前から置き去りになっているんです」
「三日前から!?」
「はい。一応生存はしているんですが……キバオウが、彼を暗殺すために動いているような気がするんです。彼の名前にいつ横線が刻まれるかと思う
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