第T章:剣の世界の魔法使い
軍
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問うたのと同時に、キリトが鋭く言い放つ。
「……?またお客様かしら……」
サーシャがそう言うと、直後、音高いノックの音が鳴った。
「すみません」
聞こえてきた声は、女性のものだった。キリトとアスナ、サーシャ、シェリーナ、ドレイクが玄関に出ると、そこに立っていたのは、モスグリーンの制服に身を包んだ女性だった。銀色の長い髪をポニーテールにした、教官然としたその女性の制服は……
「《軍》……」
先ほど撃退した《軍》の者だった。女性はぺこりと頭を下げると、
「突然申し訳ありません。私、ギルドALFのユリエールと申します」
「ALF?」
聞きなれない名前に、アスナが問い返すと、ユリエールはやってしまったとでも言わんばかりの表情を作る。
「申し訳ありません。ギルド《アインクラッド解放軍》……《軍》の事です。正式名称がどうにも苦手で……」
ああ、とキリトが納得した表情を作る。
「はじめまして。キリトと言います」
「ギルド《血盟騎士団》の……あ、今は一時脱退中なんですが……アスナと言います」
「シェリーナです」
「ドレイクと申します。以後お見知りおきを」
ドレイクがぺこりとお辞儀をする。ユリエールのお辞儀もなかなか堂に入ったものだが、ドレイクのそれは何というか、まるでお手本の様に決まっていた。
ユリエールが驚いたような声で言う。
「《黒の剣士》に、《閃光》……それに、《顔無し姫》ですか。道理で連中が軽くあしらわれるわけだ……」
「《顔無し姫》?」
「すみませんキリトさんそれ私です」
一切抑揚のない声でシェリーナが言う。
《顔無し姫》。それは、シェリーナの二つ名だった。キリトとまだコンビを組んでいたころ、常にフードつきローブで顔を隠していたシェリーナ。声で女性プレイヤーだということは分かるものの、当時の攻略組ではキリト、クライン、時々エギルの三人を除く全員がシェリーナの顔を知らなかった。そのことからついた異名なのだ。恥ずかしくてとても名乗れたものではないが……。
以前シェリーナは、自分はもはや無名になったプレイヤーだと思っていた。だが、いまだ最前線で行動していたころのシェリーナを知っているプレイヤーもいるのだと知って、ちょっと不思議な気分になった。
「アスナさんもシェリーナさんも綺麗な方ですね。羨ましい限りです」
「「いえっ!そんな……」」
にっこりとほほ笑むユリエール。厳格な教官、というイメージはさっぱり消えていた。
「しかしどうして《軍》の人が?もしかしてさっきので抗議に来たとか……」
キリトが聞くが、ユリエールはいえいえ、と首を振った。
「とんでもない。むしろ、よくやってくれたと
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