第T章:剣の世界の魔法使い
軍
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声で叫んだ。
「子ども達を返してください!」
しかしモスグリーンの制服は動かない。いまだオレンジプレイヤーの顔をしたままの《軍》のプレイヤーが、答える。
「そうもいかねぇンだよな。あんたたち随分税金を滞納してるからなぁ」
「そうそう。金だけじゃなくて、装備も置いて言ってもらわねぇとな」
隣で、アスナが顔をしかめる。シェリーナも恐らく同じ表情をしていることだろう。つまりこのモスグリーンどもは、子ども達…声を聞くにそのうち一人は女の子…に、装備を全解除しろと言っているのだ。
「キリト君、ユイちゃんをお願い」
アスナが、キリトがいつの間にか実体化させていた細剣を抜き放つ。
「アスナさん、私も行きます」
シェリーナも、ストレージから《バールドライヴ》を抜く。頼もしい重さが腕に伝わる。こくりとうなずいたアスナと共に、ジャンプ。徴税隊を通り越して、反対側に着地。そこにいた三人の子ども達に、
「もう大丈夫ですよ。装備を戻してください」
シェリーナは、フードを取り払って微笑んだ。シェリーナの金髪碧眼があらわになる。息をのむ子ども達と、徴税部隊、そしてサーシャ。
「な、何だテメェらは。俺達の活動を邪魔するってのか!?」
「おお!?《圏外》行くか《圏外》!!」
「良い度胸してるじゃねー……ぐはぁ!?」
最後の一人が悲鳴を上げる。シェリーナの剣が頬をえぐったからだ。圏内であることを示す紫のシステムメッセージが開くが、それを無視してラッシュを続ける。シェリーナの金髪が舞う。まるで、光の舞踏の様に。
《バールドライヴ》に宿った水色の光が、尾を引きながら放たれる。《片手剣》ソードスキル、《ソニックスマッシュ》。四連撃。流れるような動作の四連撃を叩き込まれた《軍》のプレイヤーが、いずこへと吹っ飛んで行った。
キリトがよくするように、剣を左右に切り払うシェリーナ。アスナと共に、軍のプレイヤー達を睨み付ける。
「……《圏外》まで行かずとも充分ですよ」
「ただし、延々と続くけどね」
***
「本当に、なんてお礼をしたらいいのか……」
「いえいえ。子ども達が無事でよかったです」
教会にて。あの後、軍のプレイヤーは残らず退散し、シェリーナ達はサーシャの教会へ戻ってきていた。
「それにしてもお強いんですね、お二人とも。あんなに強い方、初めて見ました……」
「そ、そんな……」
シェリーナがわたわたと両手を振った、その時。
今まで一言もしゃべらずにクッキーをたべていたユイが、ピクリ、と身を震わせると、ドアのあたりを見た。同時に、ドレイク、キリトもそちらを向く。
「……ドレイク?」
「誰か来る」
シェリーナがドレイクに
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