第T章:剣の世界の魔法使い
軍
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見ると、ドレイクのウィンドウは紫ではなく青だった。
「……ちゃんと返すんですよね?」
「もちろん」
にっこり頷くドレイクであった。
***
結局、ユイの保護者は見つからなかった。ドレイクの話が本当なら、彼女はAI。保護者がいないのは当然だろう。
現実世界では教育大生だったというサーシャは、孤児となった子ども達を集め、ここで育てているのだという。
サーシャがキリトたちに話したのは、近頃、《軍》が荒々しいことを始めているという情報だった。プレイヤーたちに《徴税》と称したカツアゲを行い、苦しめているという。
「昔はこんなこと、なかったんですが……。少し年齢の高い子ども達のレベルアップを手伝ったりしてくださっていたはずなのに……」
「おかしいですね……」
うつむくサーシャ。唸るシェリーナ。
シェリーナも初期の頃は、《はじまりの町》にこもっていたクチだ。当時の《軍》は分け隔てなくアイテムや食事を供給する、ボランティア的な組織だったと記憶している。
詳しいことを聞こうとシェリーナが口を開いたその時。
「先生!!大変だ!!」
部屋の扉が開いて、飛び込んできたのは先ほどの子ども達だ。
「こら!お客様が来てるのに……静かにしなさい!!」
「それどころじゃないよ!!ギン兄たちが、軍に捕まっちゃった!!」
「なんですって!?」
キリト、アスナも呆気にとられている。シェリーナも驚きが隠せない。まさか《軍》が、ここまで暴徒化しているとは……。
サーシャはこちらを振り返ると、申し訳なさそうな表情となり、
「すみません、皆さん。その……一緒に来てはいただけないでしょうか。私のレベルでは、とても彼らに太刀打ちできない……」
「分かりました。協力しましょう」
キリト、アスナが何か言う前に、ドレイクが答える。その表情は、真剣そのものだった。が、シェリーナは、その奥に何か隠された感情があるのを感じた。
それは、謀略。何かをねらっているかのような、いつも正直なドレイクに似合わない色だった。
***
最短距離をさらにショートカットしつつ、先を急ぐシェリーナ達が見たのは、複数の子ども達を行き止まりの裏路地に閉じ込めたモスグリーンの制服姿だった。間違いなく《軍》だ。彼らが行っているのは、プレイヤーの退路を阻む非マナー行為、《ブロック》だ。
「おっ、保母さんの登場だぜ」
ひとりが、にやにや笑いを浮かべてサーシャの方を向く。その表情は、まるでオレンジプレイヤーだった。
「先生、助けて!!」
「先生!!」
《軍》の後ろから、少年と少女の声がする。サーシャは《軍》のプレイヤーを睨み付けると、怒気をはらんだ
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