第T章:剣の世界の魔法使い
ユイ
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かはわからないが、はっきりしたことは1つ。
ユイは、人間ではない。
およそNPCとは思えないほど人間味があるが、恐らくかなり高度なAIによって動かされているはずだ。時々首をかしげ、疑問符の浮かびそうな表情を浮かべるのは、幼さゆえではなく、知識の中に情報がない、即ち『その情報はデータベースにはありません』という意味合いのはずだ。ドレイク自身はほとんど本物の人間と変わりないが、そんな彼ですら、いまだよくわからない物事も多い。さらに、ユイは記憶がない……つまりは、本来あるべきデーターベースが欠如している。幼い言動は恐らくその裏返し。
となると、ユイをきちんと元に戻すためには、きちんとした管理者のためのシステムコンソールがある場所にいかなければなるまい。《MHCP001》の欠如したデータを取り戻す。SAOを管理している《カーディナル・システム》にアクセスできる権限を持ったコンソールがある、現在解放されている階層は――――
「第一層ですか……」
誰にも気づかれないほどの小声でドレイクが呟く。
第一層主街区《はじまりの町》、その中心である《軍》の本拠地、《黒鉄宮》の地下ダンジョン最奥部に、システムコンソールが一つある。アインクラッド第九十六層ボスモンスターと同程度の強さにチューニングされたボスによって守られた最奥部に、キリト達を連れていくことに抵抗はあるが、しかし自分がいれば何とかなるだろう、とドレイクは決意する。
「皆さん」
「?……ドレイク、どうかしたんですか?」
シェリーナが聞き返してくる。
「一度、第一層に行ってみてはどうでしょうか。あそこには子どもプレイヤーや、その保護者が複数いらっしゃるはずです。もしかしたらユイさんの保護者も見つかるかもしれませんよ」
「そうだな。よし、言ってみるか!」
キリトが拳を打ち付け、アスナに準備を促す。立ち上がったアスナにユイも続く。シェリーナだけが、ドレイクの方によってくる。
「ドレイク」
「はい。何でしょう」
「あの――――ユイちゃんは、結局何者なんでしょうか」
「……詳しいことはよくわかりませんが、管理者系のNPCと推測されます。データ欠損を起こしており、記憶喪失になっている、と考えるのが正しいかと……ただ、繰り返しますが詳しいことは分かりません。もしかしたら本物のプレイヤーかもしれませんし……とにかく、第一層に行ってみましょう」
「……わかりました」
シェリーナが、どこかつらそうな表情をする。恐らく、ほとんど人間とそん色ないユイが、AIだというのが信じられないのだろう。そして、はっきりと彼女のことをわかってあげられないことが、余計にシェリーナを苦しめる。シェリーナは人の心を知りたがる人間だ。苦しんでいる人がいるなら、自分の手
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