第T章:剣の世界の魔法使い
ユイ
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ることができた時点で赤ではなくなる。クリッターはその場から動かすことはできず、NPCも特定のクエストの対象でない限りは移動不可だ。
「キリトさん、何かのクエストではなかったんですよね?」
「ああ。クエストログも何もないんだ。だから不思議なんだが……」
シェリーナはドレイクの方に向き直り、再び小声で問う。
「ドレイク、プレイヤーでもNPCでもないなら、何なんですか?あの子は」
「わかりません。しかし……私の予測が正しいのであれば……」
ドレイクが先を続けようとした時。
「みんな〜、ご飯出来たよ〜」
隣の部屋からアスナが入ってきて、会話が中断されてしまった。
「せっかくなので、頂きましょうか」
「え?ちょっと、ドレイク!」
答えを教えないまま、ドレイクはキリト、ユイに続いて部屋を出て行ってしまった。
***
ユイがキリトの持つマスタードをふんだんに使った激辛ホットドックをじーっと凝視している。キリトは辛い物が好物なので、比較的激辛でもいける口なのだが、どうにもシェリーナはそう言ったものが苦手で、アスナが別に作ったフルーツサンドをほおばっている。
「アスナさん、これ、すごくおいしいです。今度レシピ教えてもらえませんか?」
「いいよ〜。結構簡単だよ。シェリーナちゃんいま熟練度どの辺?」
「えっと……最近よく使ってるので……960あたりでしょうか……」
「あ、じゃぁ全然大丈夫だよ」
シェリーナとアスナが盛り上がっている横で、ドレイクは1人、沈黙を決め込んでいた。その眼には、普段は無い金色の光が渦巻いている。
ドレイクには、《母》である浅木藍から、簡易的な管理者権限を与えられていた。《エネマリア》では最大まで発揮できるそれも、アインクラッドでは《魔王》たるヒースクリフの方が権限が上で、十全に効力を発揮できない。しかし、多少のシステム閲覧程度なら可能であった。
ドレイクの《ブラウザ・ウィンドウ》によれば、《ユイ》と名乗った少女のプレイヤーコードは、キリトとアスナのそれをたして二で割ったようなものとなっている。なぜキリトとアスナの物なのかはドレイクでも分からないが、《ユイ》の正式なプレイヤーネームを始めとする情報は分かった。
――――プレイヤーネーム《Yui-MHCP001》。およそプレイヤーのモノと思えない文字の羅列ではあるが、ドレイクは似たような文字列に見覚えがある。ほかでもない、自分自身だ。ドレイクの正式なプレイヤーネームは《Dreek-MITM》。《介入者》の意味を持つこの名前は、現在のSAOで唯一、《ナーヴギア》でダイブしていない存在であるドレイクにのみ与えられた名前だ。ユイのそれが何を示す文字列なの
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