第T章:剣の世界の魔法使い
朝露の少女
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……エギルさんは?」
エギルはうーむ、と数秒唸ると、いや、と首を横に振った。
「俺は店があるから行かねぇよ。シェリーナとドレイクだけで行ってくれ」
「わかりました」
少し残念でもあったが、シェリーナとドレイクはうなずく。
エギルは二人にキリトとアスナのための差し入れを数点渡すと、
「よろしく頼むぜ」
と言って非常に似合うサムズアップポーズをとった。
――――この人、現実世界では何をやっていた人なんだろうか――――あり得ないことなのに、アメリカン映画のヒットマン風の衣装に身を包んだエギルの姿を想像し、シェリーナはくすっ、と1人笑った。
「さぁ、行きましょうか」
ドレイクがにっこり笑い、二人は転移門のある広場へと歩を進めた。
***
アインクラッド第二十二層は、前述のとおりアインクラッドで最も平和な階層だ。ドレイクによると、今後解放される残り二十五層を合わせても二十二層より平和な階層は存在しないという。理由は至極単純。フィールドに一切のモンスターが出現しないからだ。
アインクラッド第二十二層のフィールドには、フィールドボス(たった一体)を除くとモンスターが一切存在しない。ダンジョンもたったふたつ、しかも片方は迷宮区だ。どちらも難易度は最下位といってよく、たった三日という当時最速記録で攻略された。特に面白みのあるクエストもなく、一応名物として大物が釣れる湖などがあるのだが、階層全体衣が湖や海でできているアインクラッド第六十一層やアインクラッド第四十九層の方が人気が高いため、現在は下層プレイヤーや平穏を求めるプレイヤーたちが住むのみだ。
そんなアインクラッド第二十二層の主街区、《コラル》のはずれに、その丸太造りの家は存在する。
決して豪奢な家ではないのだが、作りがよく、周辺の家としては比較的値段が高かった。キリトとアスナが散々アイテムを売り払ったのは、ドレイクに進められた物件の内、一目でそこを気に入ってしまったアスナのためだった。
アインクラッドの外周にほど近く、太陽の光が直接入ってくるその家は、SAOの閉鎖的空間の中では珍しい解放感を与えてくれる。キリトもそこが気に入ったようで、ようやくその家を買ったのはつい最近……六日前の出来事だった。
「キリトさーん!アスナさーん!」
シェリーナはキリトとアスナの家に向かう道中で、肩車をしながら道を歩く二人を見つけ、両手をぶんぶん振った。キリトとアスナが気付き、手を…主にアスナが…振り返してくる。シェリーナとドレイクは二人に駆け寄った。
「お久しぶりです、キリトさん、アスナさん」
キリトとアスナに向かってぺこりと頭を下げるドレイク
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