第T章:剣の世界の魔法使い
リンダースの町で
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類。一つが、全くの赤の他人。フィールドで会ってもプレイヤーネームすら表示されない。ふたつ目が、フレンド。フィールドで出会うとプレイヤーネームが表示され、また、迷宮区などの特定区域を除くどこにいてもメッセージをやり取りできる。また、マップ上のどこにいるのかを追跡したりすることもできる。三つ目が、ギルドメンバーだ。ギルメンどうしでパーティーを組むと、経験値などに多少の補正が着くのだが、代わりに入手した金の一部をギルドマスター…より正確には《盟約のスクロール》…に《上納金》として吹っ掛けられてしまう。
そして、これらのどれとも異なるのが四つ目、《夫婦》だ。現実世界の結婚とは異なり、片方がプロポーズメッセージを送り、もう片方が了承すれば成立だ。しかし、それがもたらす効果はほかの三種類の比ではない。
結婚がもたらす変化。それは、『全情報の共有』だ。夫婦同士ではお互いのステータス画面を自由に見ることが可能だし、アイテム欄・財布に至っては一つに統一されてしまう。また、夫婦間ではハラスメントコードを起動させる《倫理コード》が一切無効化されるため、夫婦の営みも自由である。裏切りや詐欺が横行するアインクラッドでは、そもそもプレイヤーの圧倒的男女差もあって結婚まで至るカップルは数少ない。けれど、決して少なすぎる数ではないのだ。
「キリトさん、アスナさん、遅くなりましたが、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう」
キリトが、笑顔で答える。キリトが浮かべたその笑顔は、半年前から一度も見なかった、心からの笑みだった。
「……ところで、そっちの人は……」
そこで、キリトがようやくドレイクの存在に気が付いた。そういえばシェリーナも大分長い間ほったらかしにしていた気がする。そもそも、なぜ今まで誰も気が付かなかったのだ……。
「……気配遮断的な術があるんですよ」
「え?そうなんですか?」
「……嘘です」
シェリーナだけに聞こえるほど小さな声で喋ると、ドレイクはくすっ、と小さく笑い、キリトとアスナ、リズの前に踏み出した。フードをはずす。ドレイクの灰色気味の銀色の髪と、赤銅色の眼、整った顔立ちがあらわになる。
「皆さん初めまして。ドレイクと申します。シェリーナの……そうですね、チームメイトのようなことをやっています。以後お見知りおきを」
ぺこりと頭を下げるドレイク。しばらくキリト達はぽかーんと呆けていたが、はっ、とキリトが息を吹き返した。
「こ、こちらこそ……」
「よろしく……」
「お願いします……」
三人もおずおずと頭を下げる。
……やはり、ドレイクには空気を操る能力でもあるのではないか。
シェリーナがそう思った瞬間であった。
その後、キリト、アスナ、シ
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