第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法使い》の正体
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なプレイヤーをすくい、導いてきた。25層時、ユニークスキル《神聖剣》を自動習得。その後、《聖騎士》として前線に立った……」
ここからは少し未来の話も混じります、とドレイクは前置きし、続ける。
「アインクラッド五十層が攻略されたとき、その時の戦闘で圧倒的な回避力を見せた《黒の剣士》を《二刀流》の使い手として認めます……シェリーナは、その時に戦いには……?」
「参加、していました。というか、当時はその《黒の剣士》の攻略パートナーでした……」
シェリーナが苦笑いしながらそう答えると、へぇ、そうだったんですか、とドレイクが微笑む。重苦しいばかりだった周りの空気が、ドレイクにつられて少し和らいだ。
「すごく、怖い戦いでした。全滅寸前までいったんです」
「そうですね。クォーターポイントは、ユニークスキルホルダーを決める大事な戦いですから。次のアインクラッド第七十五層攻略後、ユニークスキル《射撃》が解放されます。九十層で《暗黒剣》《抜刀術》《手裏剣術》《無限槍》が。九十五層で《双斧》、《創造》が解放されます。そして、開放されるのはそれだけではない。ヒースクリフは正体を明かし、この世界最悪のボスモンスター、アインクラッド第百層階層守護者へと変貌します」
「ラストボス!?そんな……」
この話を知らないプレイヤーたちは、その時、どれだけ絶望するのだろうか。シェリーナも、今、絶望の淵に立ちかけている。
「《神聖剣》はその時点で別のプレイヤーに受け継がれます。それまでにユニークスキル使いが死亡していた場合、その後から新たな使用者に受け継がれる。同時に、《圏内》は無効となり、アインクラッドは混沌へと叩き落される――――」
「そん、な……」
そんなことになったら――――この世界は、終わりだ。攻略は進まず、永遠にこの世界に取り込まれるだけ――――。視界がブラックアウトしかけたシェリーナは、次のドレイクの言葉で引き戻された。
「大丈夫。そうさせないために、私がいるんです」
「え……?」
「私は、救世主を名乗る気はありません。けれど、私に……《エネマリア》に与えられた役割はそれだ。この世界に介入したお母さんは、カーディナルの一部を掌握、外部エリアに不可侵のステージデータを作成したのです。それが《エネマリア》。彼らNPCは、全員が私と同じ人工フラクトライト。妙に人間っぽいのはそのせいです」
「彼らも、人工の魂……」
「はい。《その時》になったら、私は勇者たちを救うべく彼らの《王》となり、勇者たちと共に戦うのです。そのために、《エネマリア》と《魔法》は存在する」
呆然とするシェリーナに、ドレイクは長い、長い話を締めくくるべく話しかけた。
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