第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法使い》の正体
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、ドレイクはなおも硬い表情で答える。
「一言で言ってしまえば、《魔法》はユニークスキルではないんです。この世界に外部から挿し込まれた、異物」
「異物……?」
はい、とドレイクは頷く。
「《魔法》は、浅木女史……《お母さん》が、《私のナーヴギア》に搭載させたバグ機能のようなものです。私のアカウントデータは、《ヒースクリフ》と同じように書き換えられた異物なんですよ」
「ヒースクリフ!?」
「はい。以前、シェリーナは私に《神聖剣》について質問してきましたね。あの時は、真実を伝えられませんでした……。あの時のヒースクリフの奇怪な動きは、《システムのオーバーアシスト》によるものです。彼のHPは、決してイエローゾーンには陥らない。彼のHPは、イエローゾーンまで減少すると、【不死属性】の表記と共に相手を跳ね返す。恐らく、ヒースクリフ……茅場卿は、それが露見することを恐れて、オーバーアシストを使ったのでしょう」
「ヒースクリフさんが、茅場晶彦なんですか……?」
「『他人のやっているRPGをはたから見ることほどつまらないことはない』……だそうですよ。お母さんが言っていました」
ヒースクリフが……茅場。なんとなく予想していたが、そうだという真実を突き立てられるとシェリーナでも動揺する。もっとも、先ほどから動揺しっぱなしなのだが。
「……ここら辺で、終わりにしておきますか?」
「いえ……ご迷惑でなければ、全部、教えてください」
「わかりました――――私が知っているここまでの知識は、全てお母さんから与えられたものです。彼女は、ナーヴギアよりはるかに高性能な次元へ……茅場卿がようやくその尻尾をつかんだ、《魂達の異世界》へとたどり着いていました。彼女は茅場晶彦を超える超人……いえ、魔人です。そして彼女は、重村ラボのメンバーの事を、なぜか非常によく知っていた。私には、彼ら一人一人に関する詳しい情報が与えられています。とりわけ、茅場卿に関する情報が多い」
ドレイクは話疲れたのか、しばらく待ってください、と目を閉じると、数秒後に目をあけた。シェリーナは気が付いた。ドレイクの赤銅色の瞳が、いつもはない不規則に揺らめく光を湛えていることに。
「茅場卿は、お母さん――――浅木女史の一年後輩として入学してきました。次の年に入学してきた須郷卿とはライバル、神代女史とは恋人同士だったようです。――――お母さんは人間観測の趣味でもあったんでしょうか……直接面識はないはずなのに、ものすごい量の情報がインプットされていますね……。茅場卿は卒業後、《アーガス》に本格的に籍を置き、《ナーヴギア》《ソードアート・オンライン》を立て続けに発表。この鉄の浮遊城を完成させた。彼はゲーム内では《ヒースクリフ》の名前を使い、様々
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