第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法使い》の正体
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る装置の作成、それをめざし、試作品として、今私たち……いえ、あなた達が頭にかぶっている《ナーヴギア》をつくり出したのです」
「ナーヴギアは試作品?……ってことは」
「はい。これは、《SAO事件》は、彼の壮大な計画の最初期段階にすぎません。《夢の実現》……本物の《アインクラッド》がある異世界へと向かうための」
「本物の、アインクラッド……」
アインクラッド、という単語は、《具現化する世界》の略称だという。つまり、茅場晶彦はこの世界を具現化させることが目的だということか。確かに、この世界がデスゲームへと変貌したあの日、空に浮かんだホロウ・アバターはこういった。
『私の目的は、この世界を作り上げ、観賞すること』
茅場晶彦は、さらにこの世界より完成度の高い、まさに『真の異世界』を創ることを望んでいるというのか。そして、その世界はどのような世界となるのだろうか――――だれも、そこが仮想空間だということを知らない世界……。
突如、シェリーナは寒気に襲われ、二の腕をさすった。
「ドレイクさん」
「はい」
「あなたは……今、ナーヴギアについて、『あなた達がかぶっている』といった。つまり、あなたは、ナーヴギアでこの世界にダイブしていない、ということですか?」
ドレイクは、目をしばらく伏せると、意を決したように強い意志を宿した瞳でシェリーナを見た。くしくも、ドレイクが口にした言葉は、シェリーナのそれと酷似した形式だった。
「シェリーナ」
「は、はい」
「あなたは……これから私が語ることを真実だとは思えないでしょう。しかし、信じていただきたい。これは、現実に起こった出来事だと」
ドレイクは、声の調子を少し緩めると、ゆっくり問うて来た。
「『脳みそを交換して』とか言われたこと、あります?」
「あ、はい……昔、現実世界で友達によく言われました」
シェリーナのクラスメイトは、学校のテストやらなんやらがあると、シェリーナに『脳交換してよ〜』と冗談を言ってきた。少しばかりの寂しさがシェリーナの胸をよぎる。
「……私は、プレイヤーネーム【ドレイク】は、言ってしまえば、それと実に似たことをして生まれた存在です」
「え……」
「私は、既に亡くなった人間の《フラクトライト》を、長きにわたって全ての学者・研究者たちが追い求めた《完成されたAI》…ボトムアップ型と呼ばれます…に置き換えて作られたんです。私の体は人間ですが、私の魂は人工物です。言ってしまえば、私は『高性能なホムンクルス』とでも言ったところでしょうか」
シェリーナは、しばらく口を開くどころか呼吸もできなかった
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